大谷翔平移籍でも「日ハムユニは欲しい」 エ軍ファンの胸中…記者に明かした“使い道”

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

レンジャーズ戦で遭遇したファンに頼まれた大谷の“日本ハムユニ”

 WBCから始まり、2度目の満票MVP、ドジャースへの移籍――。2023年、大谷翔平投手は歴史的な1年を送り、多くのファンを熱狂させた。メジャー取材1年目の記者にとっても、米国の地でその影響力を感じさせる出来事は沢山あった。6月、敵地レンジャーズ戦に帯同していた時、テキサス州のホテルで1人の熱狂的なエンゼルスのファンに出会った。

 仕事を終え、ホテルのロビーで休憩していた際に2人組の男性が声をかけてきた。片方がエンゼルスのユニホームを着用し、片方はドジャースのキャップをなぜか被っていた。「オオタニはドジャースだ!」「エンゼルスだ!」と楽しそうに言い合う2人と意気投合した。

 エンゼルスのユニホームを着用していたロジャースさんは30年近くエンゼルスファンだった。ロサンゼルス在住で、記者はその後、本拠地の試合で再会。試合後、ご飯に連れて行ってもらうなど、友好を深めた。

 日本に帰る直前、こんなお願いをされた。「日本に帰ったら、オオタニのユニホームを買ってきてくれないか?」。日本ハム時代のユニホームはもう日本でも売っていない。「買うにしても中古か、金額が高くなっていると思う」と返すと「どうしても欲しいんだ」と返してきた。

 記者が「ドジャースに行っても?」と聞くと「オオタニはドジャースに行かない。だから大丈夫だ」の一点張りだった。「来年もエンゼルスにいて、自分がアメリカに行くことになったら買ってくる」。そう約束して、記者は日本に帰った。

 12月9日(日本時間10日)、大谷はドジャース入りを発表した。日本帰国後も、記者はロジャースさんと連絡を取り合っていたが、その日も涙の絵文字だけ送られてきた。「ユニホームどうするの?」と聞くと、「Forever Angels」と生涯エンゼルスファンを誓った後、「日本ハムのユニホームは欲しい」とお願いされた。

 エンゼルスファンにとっては複雑な心境だろう。隣の常勝球団に奪われ、自らが応援するチームは9年連続プレーオフ進出を逃している。それでも「オオタニはどこへ行っても応援し続けるよ」とロジャースさん。「ドジャースタジアムならすぐに見に行ける。エンゼルスファンとわからないユニホームを買ってきて」。日本ハムのユニホームの、使い道がわかった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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