割れた地面、実家は「ぐちゃぐちゃ」 帰省中に被災…西武22歳が車中で過ごした7時間

西武・牧野翔矢【写真:湯浅大】
西武・牧野翔矢【写真:湯浅大】

石川・鳳珠郡穴水町出身の牧野翔矢は能登町にある父の実家に向かう途中で被災

 西武の6年目で石川・鳳珠郡穴水町出身の牧野翔矢捕手が8日、帰省中に能登半島地震に被災した体験を語った。道の崩落などで、運転していた自家用車が動けなくなり約7時間閉じ込められ、「心配でした」などと当時の心境を明かした。

 年末から帰省していた牧野は能登町にある父の実家に向かっている途中、山道で大きな揺れを感じたという。「すごかったです。車は動く状態でしたけど、土砂崩れで動けない状況でした」と振り返る。
 
「戻ろうにも(倒れた)木が落ちていて、前も地面が割れていて。ずっと車の中にいました」。車中には約7時間いたそうで、その間に家族らと連絡をとり、お互いの無事を確認。ただ「余震も続いて、心配でした。帰れるのか」と胸中を語った。

 近くのコンビニで店員が水やパンなどを無料で配っていたため、空腹はしのげた。最終的に、迎えに来た父のトラックに乗り、牧野の車は母が運転して移動できたというが、途中では割れた道路の影響でタイヤがパンクした車も多数見かけたという。

両親に「野球優先でいいから」…5日に戻り自主トレに励む

 穴水町の牧野の実家は電気が不通。「家の中はタンスが倒れていたり、ぐちゃぐちゃでした」。両親は今も電気不通の実家におり、昼は片付けなどをし、夜は寒さ対策で車中泊をしているという。

「ガソリンも何千円くらいしか入れられない。水もないので、風呂も入れない。すごく大変です。僕は3日くらいしかいなかったですけど、食事もしっかり摂れなくて。今は少しずつ増えてきているみたいですけど」

 それでも家族は牧野に「野球優先でいいから」と自主トレに行くように背中を押し、牧野は5日に戻ってきた。「今年1年間は復旧もなかなか難しいと思う。僕が頑張って親戚、家族にいい姿を見せて元気を与えられればと思う。頑張って1軍に行けるようにやっていきたい」。

 2023年から背番号が3桁となった22歳。再び支配下登録を勝ち取り、1軍で活躍して明るいニュースを届けることを誓った。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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