WBC世界一も“苦悩”「悔しい」 滑る球に投球時間制限…40億円左腕が描くリベンジ

オンライン記者会見に臨んだパドレス・松井裕樹(写真はスクリーンショット)
オンライン記者会見に臨んだパドレス・松井裕樹(写真はスクリーンショット)

パドレス松井は昨春のWBCで1登板のみ「僕自身は悔しい結果に終わっている」

 パドレスと5年契約を結んだ松井裕樹投手は10日、オンラインで入団記者会見を行った。日米メディア50人超のメディア関係者が参加した会見で、NPB通算236セーブ左腕はダルビッシュ有投手の存在が入団の“決め手”になった告白。新天地の適応へ準備していることも明らかにした。

 3月のワールド・ベースボール・クラシックでは世界一に貢献。ただ、本大会では1試合登板のみ。3度の最多セーブのタイトルを獲得した救援左腕にとっては“消化不良”だった。この日の会見でもWBCについて質問されると、表情を曇らせた。

「世界一の一員になれたことをうれしく思います。ただ、僕自身は悔しい結果に終わっているので」

 日本から海を渡る投手にとって乗り越えるべき課題はある。NPB公式球に比べて滑りやすいとされるメジャー球に、硬いマウンド。投内連係やサインプレーなどチーム練習の時間は少ないなど、キャンプの練習法だって違う。

「ボールの感覚は違いますけど、このボールで来季以降やるので。言い訳はできないですし、アジャストしないといけないと思っている。そこはしっかり準備して」

走者ありの場面では38.2秒を使った「キャッチボールから取って早く投げる」

 松井にとって“難題”となりそうなのが、投球間の時間制限「ピッチクロック」だ。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)によると、松井は走者がいない時に27.7秒を使い、走者ありの場面では38.2秒。1球1球にじっくりと時間を使ってきた。

 メジャーでは昨季からピッチクロックを導入したが、今季は走者がいる場面で20秒から18秒に短縮。無走者での15秒に変更はないが、松井は大幅な修正が求められる。すでに手を打っているという。

「昨シーズンが終わってから、キャッチボールから取って早く投げるというのはやっています。ブルペンの時も(投球の)間隔を測ってやっているので。(捕手から)ボールをもらう前にサインを決められるという話を聞いているので、球種選択の際に時間が短縮できると思う。キャンプから実戦さながらの動きを作って準備できればいいなと思っています」

 パドレスとの契約内容は5年総額2800万ドル(約40億4000万円)。日本人救援投手では史上最高額だ。10か月前につかんだ世界一の栄光と“挫折”。「野球人生で大きなモチベーション、エネルギーになっているので。それをアメリカというところで晴らすというか。(言葉の使い方が)あっているかわからないですけど、エネルギーを爆発させて、今年また新しいチームで、そういうメンバーと争えるように頑張りたいと思います」。その言葉には力がこもっていた。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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