甲斐野、人的補償で移籍に涙「いろんな感情」 新年の挨拶直後…Zoomで通告「ですよね」
11日は静岡への移動中…Zoomを開くと球団の編成担当3人が
西武への移籍が決まった甲斐野央投手が12日、静岡市内で自主トレを行い、Full-Countの単独インタビューに応じた。国内FA権を行使してソフトバンクに移籍した山川穂高内野手の人的補償として指名され、2024年から新天地に移る。一夜明けたこの日、移籍を知らされた時の具体的な状況を明かした。
年始以降、福岡でトレーニングを積み、11日は静岡への移動日だった。人的補償で誰が移籍するのか、世間からの注目を集める中、甲斐野は「僕もあり得るなって感じでした」と心中を明かす。そして、電話が鳴った。相手はソフトバンクの編成担当者だった。「Zoomできるか?」。電話を切ってZoomに参加すると、三笠杉彦取締役GMをはじめ3人の編成担当者が待っていた。4人での会話が始まった。
第一声は甲斐野から。「あけましておめでとうございます」。新年の挨拶を伝えると、すぐに本題に入った。「今回の人的補償に甲斐野君が選ばれたということで、今年から埼玉西武ライオンズさんでプレーしていただくことになりました」と移籍を知らされた。甲斐野自身も「『ですよね』『もうわかっていました』という感じでした」と、覚悟を決めていた。20分ほどの会話を終え、新天地での活躍をすぐに誓った。
11日の夜は寝付けず涙…飛び交うニュースを見て「ホークスの5年間を思い出した」
編成担当者から1度目の電話があった時、一緒に静岡に向かっている愛妻も隣にいた。移籍することをほぼ察して「多分、そうなると思うわ」とだけ伝えた。「いなかったとしても、一番に妻には電話しようと思っていましたよ。離れていようが、一番に妻に伝えたかったですから」と、支えてくれる家族に伝えるつもりだった。人的補償を知らされるという瞬間、妻が隣にいてくれたことも甲斐野にとっては心強かった。だから、すぐに覚悟も決まった。
11日の夜は、なかなか眠りにつくことができなかった。ベッドでスマホを見ていても、自分の名前が飛び交っている。「いろんな感情というか、ホークスに入ってからの5年間を思い出していたら寝られなくなりました」と、涙が溢れた。甲斐野には「(スワイプする)親指が攣るくらい」の連絡が来たという。この日は少し気疲れした様子だったが、ハキハキとした口調は甲斐野らしかった。
山川は昨年5月に強制性交等の疑いで書類送検され、8月には不起訴処分となった。その背景を踏まえて「山川の人的補償」は注目を集め続け、ようやく決着した。渦中の当事者となった甲斐野も「山川さんがというよりも、僕はもう野球人としても人間としても、どこの球団に行ってもやることは野球ですから。西武さんに必要とされている思いがあるので」と、決意を新たにしていた。
(竹村岳 / Gaku Takemura)