朗希は「チームを引っ張る存在になれていない」 求める規定クリア…専門家が見た課題

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

規定投球回クリアの経験ない佐々木「どう変わっていくのか、楽しみ」

 井端弘和監督率いる侍ジャパンは今年、京セラドームで行われる「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」(3月6、7日)を経て、11月に国際大会「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」に挑む。昨年、栗山英樹前監督の下でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を制し日本中を沸かせた熱気を、引き継ぐことができるだろうか。専門家がキーマンを占う。

 まずは投手陣。昨年のWBC優勝メンバーのうち、このオフに山本由伸投手(ドジャース)、今永昇太投手(カブス)、松井裕樹投手(パドレス)がメジャーへ移籍。プレミア12はWBCと違い、メジャーリーガーの出場が期待できないだけに、大幅な“再編”を余儀なくされる。

「次世代のエースは、長いイニングを投げられること。力で抑えられる能力から見て、佐々木朗希(ロッテ)しかいないでしょう」

 こう語るのは、現役時代にゴールデン・グラブ賞を7度受賞し、外野守備の名手として鳴らした野球評論家・飯田哲也氏だ。佐々木は昨年、7勝4敗、防御率1.78をマーク。91回で135三振を奪うなど圧倒的なポテンシャルを見せつけたが、プロ4年間でいまだ、規定投球回数をクリアした経験がないのも事実だ。

 飯田氏は「1年間やり切れる体がまだ出来上がっていないというのが、実際のところだと思います。侍ジャパンではもちろん、ロッテでもチームを引っ張る存在になれていない。体も心も成長していってほしい。今年のキャンプ、オープン戦を通して、どう変わっていくのか非常に楽しみです」と期待を寄せている。

ヤクルトなどでプレーした飯田哲也氏【写真:荒川祐史】
ヤクルトなどでプレーした飯田哲也氏【写真:荒川祐史】

4番候補に挙げる万波「スケールの大きさは抜群です」

 打線の中軸候補として成長を熱望するのが、日本ハムの23歳・万波中正外野手。昨年はプロ5年目で初めて規定打席数をクリアし、打率.265(リーグ10位)、25本塁打、74打点と飛躍した。井端監督の初陣となった昨年11月の「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」では、全4試合に出場し打率.353(17打数6安打)。バックスクリーンと、逆方向の右翼席へ1発ずつ放り込んだ。基本的に出場資格が24歳以下か入団3年目に限られていた同大会では、ピカイチの印象を残した。

「スケールの大きさは抜群です。パワーがあって長距離を打てる。確実性も徐々に向上していて、“三振か、ホームランか”の打者ではなくなりました。守っても強肩で守備範囲が広い。何より、明るいキャラクターで“見ていて楽しい選手”であることが最大の魅力です」と飯田氏は絶賛する。

「プレミア12で4番を張るのは誰かと言えば、一昨年あれほどすごい打者になったと思われた村上(宗隆内野手=ヤクルト)が昨年際立った成績を残せず、柳田(悠岐外野手=ソフトバンク)も最近は故障がち。結局、井端監督が今年の調子を見て選ぶでしょう。期待込みで、万波が来そうと予想します」。年齢などの制限のないフル代表でも、村上や巨人・岡本和真内野手らと4番の座を争ってほしいものだ。

「打線では、近藤(健介外野手=ソフトバンク)、牧(秀悟内野手=DeNA)が円熟味を増していて、間違いないと思う。粗削りな万波も、前後を近藤や牧に固めてもらえれば、のびのび打てるでしょう」とも飯田氏は付け加えた。

 佐々木は今年23歳、万波は24歳になる。若く伸びしろもある2人が、栄光の侍ジャパンをさらに進化させるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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