絶妙すぎる技、1.2秒に詰まった高度な駆け引き 走者は愕然…「牽制」トップ3
鷹・板東、ロッテ・小島らが抜群の一塁牽制で走者を刺した
投手がアウトを取る方法は、打者を打ち取ることだけではない。走者の虚を突く牽制球で走者を刺すプレーも、重要な技術の一つだ。今回は、昨年のパ・リーグで牽制によってアウトを取ったシーンのうち、投手の高い技術が感じられた3つのプレーをピックアップした。1.2秒というわずかな時間に詰め込まれた高度な駆け引きの様子を振り返る。
○ソフトバンク・板東湧梧投手(9月10日、楽天戦)
初回に3点を失い、2回も先頭の小深田大翔選手に内野安打で出塁を許した。ここで小深田に2度の一塁牽制を試みる。1度目は帰塁されたものの、2度目では身体を反転させながら軸足をクロスさせて、抜群のコントロールで投げた。逆を突かれた小深田は帰塁が遅れ、一塁手の中村晃外野手の冷静な対応もあってアウトになった。
○ロッテ・小島和哉投手(7月15日、楽天戦)
初回、先頭の村林一輝内野手に安打を許した。続く小深田の打席で、小島はけん制を2球投じる。2度目のけん制では村林のタイミングをうまく外して反応を遅らせ、一塁手の山口航輝外野手が頭にタッチできるほどの余裕を持ってアウトにした。
○西武・與座海人投手(8月27日、日本ハム戦)
2-2の4回に背負った1死満塁のピンチ。奈良間大己内野手をカウント3-0から見逃し三振に仕留め、五十幡亮汰外野手を打席に迎えた場面で、虚を突いた牽制を試みる。素早いサイドスローから投じられたボールに、一塁走者の古川裕大捕手は戻りきれずにアウトとなった。
今回取り上げた3つのプレーは、いずれも執拗に牽制球を投げ込んだわけではなく、2回以内の牽制で走者を刺している。MLBでは牽制を3回行ってアウトにできない場合はボークになるというルールが2023年から導入されたが、3投手の牽制は、そうした観点からも高く評価できるものといえよう。