戦力外&引退後…球団に残れる選手の特徴 オファーに直結、オーナーが語る“現実”
DeNA南場オーナーが新人11選手にプロとしての心得などを説いた
DeNAの新入団選手11人が26日、都内にあるDeNA本社オフィスを訪問して南場智子代表取締役会長(横浜DeNAベイスターズオーナー)による研修や名刺交換を行った。恒例の南場オーナーによる講義では、プロとしての心得を説かれた。
目標を立てて、達成する。さらに高い目標を立てる……。そうしてプロ野球選手は成果を得ていく。南場オーナーが力説したのは、その過程だ。「私が尊敬する高田繁さん、平松政次さん、2人に『大成する選手としない選手はどこが一番違うか教えてください』と聞きました。高田さんは『工夫だね』、平松さんは「想いの強さだね』とおっしゃいました。結局は目標から達成にいくまでのところなんです」。
順風満帆な選手はほんの一握り。「躓くときがあったり、スランプが長いときもある。周りに色々言われて訳が分からなくなってしまう人もいる。何が良くて何が良くないのかを自分で整理して、後ろを向いてしまいそうなときも腐らずに前を向いて努力し続けること、そこで差が出るのは確かにそうだなと。目標の設定の仕方、達成したときにどうあるかよりも、苦しいときの処し方で大物になるか、並の選手で終わるかの差が出てしまいます」と語りかけた。
プロ野球選手でいられる期間は、一般的なサラリーマンと比べたら短い。「45歳を超えてやっている人は滅多にいないですよね。でも人生は今90歳まで続く。引退後にどれだけ充実した人生を歩めるか。それも(目標から達成への過程に)似ているんです」というのは、入団したばかりで大きな夢を持つ11人にも、しっかりを理解してほしい“現実”だ。
自覚と責任を…プロ野球選手になったことは「消えない記録の始まり」
プロ野球選手の引退後の選択肢はどうしても限られてくる。球団に残る、というのもその1つだが、それはオファーがないと実現しない。南場オーナーは「オファーを出せるかどうかは何を見ているかというと、ここ(過程)での姿勢。私たち球団はそこをじっくり見ています。うまくいったときにいい選手、立派な選手でいることは簡単。うまくいかないときにもプロ野球の一翼であるという自覚、子どもたちのお手本であるという自覚を持って、自分しか自分を救えないんだという前向きな気持ちで、しっかりと工夫と想いを持って進んでいけるかどうかを見ています」と明かすと、ルーキーたちも背筋を伸ばした。
さらにプロ野球選手になったことを「消えない記録の始まり」とも。常にスポットライトを浴びている職業だからこそ、「野球以外でも全部記録になる。誰も見ていないと思う私生活で何をしたか、自分が愛してやまない野球に打ち込むためにも、余計なことで変な記録をつくらないことが重要」と、改めて自覚と責任を持つことを促した。
ドラフト1位の度会隆輝外野手(ENEOS)は「ダメなときにどれだけ頑張るかというのを心に刺さったので、前向きに頑張ろうと思いました」と南場オーナーの言葉をしっかりと受け止めた。大きく飛び立つ若武者たちは、この日の気持ちを忘れずに歩んでいく。
(町田利衣 / Rie Machida)