DeNA牧が語る「何年も優勝できていない事情」 12球団で最長…新主将が見た「弱い部分」
1998年を最後に12球団最長のブランク「言うべきことは指摘していきたい」
DeNAの牧秀悟内野手が新キャプテンとして、2月1日から沖縄・宜野湾キャンプに臨む。1998年を最後に昨年でちょうど四半世紀、12球団で最も長くリーグ優勝から遠ざかっているチームに、Vをもたらす決意だ。
牧はプロ3年目の昨季、全143試合で4番を務め打率.293、キャリアハイの29本塁打、103打点をマークし、打点と安打数(164本)でタイトルを獲得した。2024年のチームスローガン「横浜進化」にちなみ、「成長、進化が止まったら、選手生命を終える時だと思っている。去年の記録を全部超えるつもりでやっていきたい」。
さらに「もう負けたくない、という思いが強い。個人よりチームを優先して、優勝を目指してやっていきたい」と力強く語った。
三浦大輔監督の就任1年目の2021年がルーキーイヤーで、初年度の最下位から、22年に2位、23年はセ・パ交流戦優勝を経ての3位と、チーム成績を押し上げてきた。それでも「悔しい思いをしてきました。このままではダメだと思います。キャプテンになるということで、チームとしても進化していけたらと思います」と表情を引き締める。
「僕は決してモノを言うタイプではないですが、チームが変わるのであれば、言うべきことは言い、あとは背中で引っ張っていければと思います。練習中も、個別な時間も、私生活も、常に見られていることを感じながらやっていくのが大事ではないかと思います」と立ち居振る舞いのイメージはできている。
「(前主将の)佐野(恵太外野手)さんが、年齢が上でも下でも話し合える、すごくいい関係のチームをつくるのを見てきたので、それを生かしていきたいです」とする一方で、「何年も優勝できていないのには、そういうチーム事情があると思いますし、弱い部分だと思います。勝つために言うべきことは指摘していきたいです」。時には厳しく発言する覚悟も示した。
ホームゲームの強さと裏腹な内弁慶ぶり
DeNAが球団の親会社となった2012年シーズン以降は上昇傾向にあるとはいえ、かくも長きにわたって優勝できないでいるのはなぜか。牧は「勢いはすごくあるチームで、いける時は一気にいけますが、逆に負けている時は(ズルズルと)負けてしまう。ダメな波を消していければと思います」と指摘する。
また、昨年はホームゲームで勝率.565(39勝30敗2分)と強みを発揮する一方、ビジターでは.493(35勝36敗1分)。一昨年も球団新の“本拠地17連勝”を記録するなどホームで勝率.577を誇りながら、ビジターでは.457だった。
牧は29日に新ビジターユニホーム発表会に主席した際、「ホームでは声援が力強いですし、雰囲気もある。ビジターとなると相手の雰囲気に飲まれることもある」と認め、「この新しいデザインのユニホームで(敵地でも)自分たちの雰囲気を崩さず、ベイスターズらしさを出せればと思います」と力を込めた。
本拠地・横浜スタジアムでは、何点リードされていても、終盤にチャンスをつかむとガラリと球場のムードが変わり、自慢の打線が爆発して逆転に至るケースがある。守勢に回った時と敵地での弱さを克服することが、Vへの鍵と言えるかもしれない。
牧は中大時代に主将経験があり、昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップ2023では若手中心の侍ジャパンにあって、井端弘和監督の方針で正式な主将を置かなかったにも関わらず、チームメートはそろって牧を「キャプテン」と呼んでいた。自然にチームの先頭に立ち、束ねる資質がある。
「選手、監督、コーチ、スタッフ全てから頼られるのがキャプテンだと思います。それに、これまで3年間(佐野を)見てきて、勝負所でのキャプテンの1打がチームにいい影響を与えることがわかった。そういうのを目指してやっていきたいです」
今年のDeNAは、昨年10勝4敗のトレバー・バウアー投手が自由契約となり、1月31日時点でも去就が見えない。エースの今永昇太投手がポスティングシステムでカブスに移籍するなど、不安材料も抱えるが、新主将のキャプテンシーで悲願を成就させてみせる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)