巨人から電撃移籍の助っ人が“切り札”に V奪回へ…泣きどころを埋める大砲

春季キャンプで笑顔を見せるソフトバンクのアダム・ウォーカー【写真:矢口亨】
春季キャンプで笑顔を見せるソフトバンクのアダム・ウォーカー【写真:矢口亨】

アダム・ウォーカーは巨人との電撃トレードでソフトバンクに加入した

 昨季は巨人に所属していたアダム・ウォーカー外野手が、高橋礼、泉圭輔両投手とのトレードでソフトバンクに移籍した。巨人で2年間プレーしたウォーカーにとって、パ・リーグ球団でのプレーは初めてとなる。

 ウォーカーは初年度の2022年は主にレフトを務め、124試合に出場。打率.271、23本塁打、52打点、OPS.821と、持ち前の強打を発揮。見事に日本球界へ適応した。だが2023年はルイス・ブリンソン外野手が加わったことで外国人枠との兼ね合いもあり、出場試合数が57試合に激減。6本塁打20打点に終わった。

 昨季のソフトバンクの外国人は4人で計1本、打率2割超の打者も不在。6月にはNPB通算184本塁打、545打点の実績を残したアルフレド・デスパイネ外野手を“出戻り”で緊急補強したが、37歳は打率.071、0本塁打と振るわず。外国人野手が総じて機能しなかったことで柳田悠岐外野手と近藤健介外野手の後を打つ5番打者を固定できなかった点が、後半戦の失速を招く要因の1つとなった。

 右の強打者が不足しているというホークスのチーム事情もウォーカーの存在価値を高めることにつながりそうだ。近藤、柳田、中村晃外野手はいずれも打率ランキングのトップ10に入る活躍を見せたが、いずれも左打者。その他の主力も左打者が多い。

 右打者のウォーカーは2022年に結果を残し、2年続けて長打率.480、OPS.750を上回る成績を残した点も、新天地においては大きな意味を持つだろう。昨季のソフトバンクで30試合以上に出場した選手のうち、OPSが.700を上回ったのは近藤と柳田だけ。ウォーカーが本来のパフォーマンスを発揮すれば打線の生産性は上がる。

DH制採用のパ・リーグで、課題の守備難軽減も

 ウォーカー自身にとっても、今回のトレードはプラスに作用する。DH制がなかった巨人では、外野の守備、とりわけ送球面における課題を指摘されることが多かった。徐々に向上は見られたが、守備難が昨季に出場機会を減らした原因の1つとなった可能性は否めない。DH制を採用するパ・リーグでは出場機会の増加や打撃に集中できる環境を得られる点で、大きなメリットとなりそうだ。

 ウォーカーのトレード相手となった高橋礼は、2019年に12勝を挙げて新人王に輝くなど、希少な速球派のサブマリンとして、先発・中継ぎの双方でチームの日本一に貢献。泉は5年間で118試合に登板して23ホールド、防御率3.00を記録し、貴重な中継ぎとして幅広い起用に応えてきた。

 主力クラスの2投手を放出して獲得したウォーカーにかかる期待は大きい。裏を返せば、ソフトバンクはそれだけのリスクを負ってでもウォーカーを獲得したいと判断した、という見方もできる。

 かつてソフトバンクの右打ちの長距離砲といえば、李大浩内野手やデスパイネがいた。ウォーカーがV奪回へ向けた「ラストピース」となりうる可能性は十分にあることだろう。直近6年間でリーグ優勝を果たしたのは1度のみ。ソフトバンクが常勝軍団復権に向けた第1歩となるか。新天地でウォーカーが見せてくれるであろう全力プレーに注目だ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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