巨人・菅野に募る危機感 キャンプ初日から全開…戸郷と対照的だったブルペン

ブルペン入りした巨人・菅野智之【写真:矢口亨】
ブルペン入りした巨人・菅野智之【写真:矢口亨】

戸郷は昨年チーム最多の12勝、リーグ最多タイの4完投で自身初の開幕投手に

 巨人の今季開幕投手を務めることが決まっている戸郷翔征投手と、復活を期す菅野智之投手が宮崎キャンプ初日の1日、ブルペンで対照的な姿を見せた。

 戸郷は昨年11月の時点で、就任1年目の阿部慎之助監督から自身初の開幕投手に指名されている。この日は大城卓三捕手を座らせ25球。力感の抜けたフォームながら、キレのいい球がミットに吸い込まれていた。「6~7割の力で投げましたが、その中でも大城さんに『いいボール』と言ってもらえたのでよかった。バランスよく投げられることが一番大事。次は、出力を上げた時にどうなるかを見てみたいと思います」と説明する。

 3月29日の阪神との開幕戦(東京ドーム)に先発することが決まっているとあって、「ゆっくり調整できる。いい形で、怪我をしないようにやっていきたいです」と落ち着いたものだ。昨年チーム最多の12勝(5敗)、リーグ最多タイの4完投、防御率2.38をマークし、エースと呼ぶにふさわしい存在に。阿部監督も「自覚を持っている選手だと思っていますし、逆算してやってくれると信じています」と全幅の信頼を置いている。

 一方、巨人投手陣最年長の34歳の菅野は、一番乗りでブルペン入りし意欲満々。「年齢順なので」と笑わせながら、こちらも捕手を座らせ33球を投じた。「これからに期待が持てる内容でした」と例年になく表情が明るい。

 昨年は右肘の張りで開幕2軍スタート。シーズン終盤に調子を上げたものの4勝8敗、防御率3.36に終わった。開幕投手を過去に8度も務めた実績があるが、阿部新監督が就任し「アピールしなければいけない立場。(自主トレで)しっかりやってきたんだぞというところを見てもらえたらと思いました」と危機感を隠さない。

昨季4勝8敗の菅野「勝負所でスライダーという選択肢が頭になかった」

「今はスライダーの曲がりをテーマにしています。昨年は勝負所でスライダーという選択肢があまり頭になかった。状態が良くなかったからです。大城から『もっとスライダーが曲がったら、楽になりますよね』とリクエストをもらっています」と説明。「(今は)いい時に近づいています」と手応えをつかみつつあるようだ。

 阿部監督もベテランの奮起に「例年にないくらい飛ばしている。意気に感じました。周りがすごく触発されるだろうし、とてもいいことだと思います」と目を細めている。

 新旧エースが実力通りの数字を残すことができれば、阿部監督就任1年目Vはぐっと近づくはずである。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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