ほとんどしない平良海馬、年々減らす佐々木朗希 剛球以外にもある2人の共通項

西武・平良海馬(左)とロッテ・佐々木朗希【写真:小林靖】
西武・平良海馬(左)とロッテ・佐々木朗希【写真:小林靖】

2年連続でオリックスが最少、平良海馬や佐々木朗希は圧倒的に少ない

 日頃注目されることが少ないであろう「けん制」。しかし、昨季の走者一塁の場面を見てみると、2512球(偽投を除く)が投じられている。今回は、けん制の多い投手、少ない投手は誰か。全体の傾向とともに紹介したい。

 2022シーズンと2023シーズンで、走者一塁(一、二塁など、一塁以外にも走者がいる場合は含まない)で、最もけん制間隔(投球数/けん制回数)が長かった(けん制の頻度が少ない)のはオリックス。2022年は8.88、2023年は15.71だった。2022年と比べると、2023年はソフトバンク以外の5球団でけん制の頻度が減少した。投手の左右別では、2年とも左投手の方がけん制の間隔が約1、2投球分短くなっている。

「走者1塁の場面で200球以上を投じた投手」を対象に見ると、2022年は上位3人がロッテの投手(本前、小島、ロメロ)。けん制の頻度が最も少なかったのもロッテの佐々木朗希投手で19.62だった。2023年は上位3人がソフトバンク勢(和田、大関、板東)。頻度が少ない投手の2番目が佐々木で30.63、最も少なかったのが西武・平良海馬投手で40.83だった。

 続いて、けん制の頻度が高い投手としてロッテ・小島和哉投手、ソフトバンク・石川柊太投手、日本ハム・宮西尚生投手を紹介する。小島は2019年から一貫してけん制間隔が短い。4番目にけん制の頻度が高かった2023年は5・71で、当人比ではむしろ頻度を減らした年だった。

 石川は昨年が5.78。小島ほどではないが、けん制の頻度が高い様子が見られる。石川は2020年から2年連続でスピードアップ賞を受賞するなど、テンポの早さが特徴的だが、けん制の回数を減らすことはしていないようだ。リリーフの宮西は投球数が200球を超えずランキングには登場していないが、直近5年は小島並みにけん制の頻度が高かった。

 けん制の頻度が低い投手として平良、佐々木を紹介する。中継ぎ時代も含めて平良のけん制の少なさは顕著だ。常にクイックモーションで球速も速いため、あえてけん制をする必要がないのだろうか。

 佐々木は2021年がプロ初登板で参考程度だが、2年続けて頻度を減らしている。平良と比べてクイックモーションが強みであるわけではないが、被打率が直近2年で.180以下と圧倒的に低いため、盗塁されても打たれなけば問題ないという考えなのかもしれない。

 普段あまり語られることのないけん制だが、小島や平良のように特徴的な傾向を示す投手がいる。細かなプレーひとつひとつにもプロの技術は詰まっており、時には投手と打者の対戦以外に目を向けると、意外な野球のおもしろさに気付けるかもしれない。

(「パ・リーグ インサイト」武澤潤)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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