戦力外直前に“授かった才能” 巨人から加入のオリ育成・香月一也が捕手に挑戦する理由

オリックス・香月一也【写真:北野正樹】
オリックス・香月一也【写真:北野正樹】

巨人を戦力外→オリ育成の香月が“2人の指導者”に感謝

 選手としての可能性を広げてくれた2人の指導者に頭が上がらない。今オフに巨人を戦力外となり、オリックスと育成契約を結んだ香月一也内野手は、2年前に「捕手」へ挑戦させてくれた原辰徳前監督、阿部慎之助監督に対して、感謝の言葉を繰り返す。

「阿部さんにはすごく感謝しています。もちろん、了承して下さった原監督にも感謝です」。自主練習でマシンを相手に打ち込み、上気した顔でかつての上司2人の名前を挙げてこうべを垂れた。

 華々しい球歴だ。福岡県出身。大阪桐蔭時代は内野手として1年秋からベンチ入り。メジャーで活躍する藤浪晋太郎投手と再びチームメートとなった森友哉捕手を先輩に持ち、自身の3年夏には甲子園大会に「3番・三塁」で出場。3回戦の八頭戦(鳥取)では6打数4安打を放つなど、優勝に貢献した。2014年にドラフト5位でロッテに入団し、2020年シーズン途中にトレードで巨人に移籍。昨季終了後に戦力外通告を受け、オリックスに育成契約で入団を果たした。

 セールスポイントは長打力。巨人に在籍した2022年の秋季キャンプでは、長打力を伸ばすために「捕手」に挑戦した。「当時、ヘッドコーチだった阿部さんが『下半身の強化になるからやってみないか』と言ってくださって。中学時代に何回か守った程度ですが、取り組んでいるうちに『守れるようになったら、絶対にプラスだから』と阿部さんも言われて、自分もそうだなと感じていました」。

 ヘッドコーチからの進言を受け入れた原監督からも「適性はある。非常に器用さがある」と高い評価を受けた。試合中に捕手が負傷した場合の“不測の事態”に備える意味もあったが、実際は試合での出番はなく、香月の記憶から「捕手」は薄れていった。

オリックス・香月一也【写真:北野正樹】
オリックス・香月一也【写真:北野正樹】

捕手にも挑戦の香月「自分のためになると思って真剣に取り組んでいます」

 ところが2年後の今、記憶がよみがえった。2023年11月にテスト生としてオリックスの高知秋季キャンプに参加。大阪桐蔭の後輩でもある池田陵真外野手が捕手転向に取り組んでいる姿をみて、斎藤俊雄バッテリーコーチらに過去の経験を伝えたところ、ブルペンでマスクを被ることになった。

 中嶋聡監督が見守る中、コーチらに促されて大阪桐蔭の後輩、中田惟斗投手の投球を受けたことで、春のキャンプでも捕手組に入って練習に取り組んでいる。

「捕手は(他のポジションに比べて)やることは多いのですが、自分のためになると思って真剣に取り組んでいます」。複数ポジションをこなせることで、確実に出場機会は増える。「支配下選手登録は、自分の中では絶対なので。支配下(登録)にならないと1軍で勝負できませんから。少しずつクリアしなければ、その上は見えてこないので」。

 福良淳一GMも「(香月は)巨人でも(捕手を)やったことがあると言うので、池田と同じように打撃を生かすために見て見ようかなと」と期待をかける。自信のある打撃力を生かすためにも、プロ10年目の“節目”に闘志を燃やす。

◯北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY