即戦力補強で危機感も「今年は野球がうまくなりそう」 巨人左腕が前向きなワケ

キャンプで投げ込みを行う巨人・高梨雄平【写真:宮脇広久】
キャンプで投げ込みを行う巨人・高梨雄平【写真:宮脇広久】

3年連続50試合登板も昨年は防御率4.19とやや振るわず

 巨人宮崎キャンプは8日、1軍の練習に2軍から高梨雄平、今村信貴、横川凱、鈴木康平、井上温大の5投手が1日限定で参加。阿部慎之助監督は「サインプレーがあったので呼んだだけ」と説明したが、5投手としてはここでアピールしない手はない。特に変則左腕の高梨は、プロ8年目・31歳にして生まれ変わった姿を垣間見せた。

「お久しぶりです」。高梨は1軍に張りついている報道陣に、少しおどけて頭を下げた。

 3年連続で50試合以上に登板し貢献度大の高梨だが、昨年は8、9月に調子を落とし、トータル55試合で防御率4.19とやや振るわなかった。そこでシーズンオフの間に、より強く速い球を投げるためフォームを改造した。

 本人は「腕の使い方を結構変えました。昨年までは肘から先に出てきて、指先でピッと投げる感じでしたが、今年は腕を遠回りさせ、できるだけ後ろから出てくるイメージ。横投げでこういう投げ方をしている人はあまりいなくて、最初は半信半疑でしたが、昨年12月くらいから感覚が良くなりました」と説明する。

 キャンプは2軍スタートも、この日は1軍のブルペンで65球のピッチング。「今はストレートを多めに、握力がなくなるまで、ブルペンに入れる日は全て入るつもりでいます」と並々ならぬ熱意を示す。フォーム改造の効果で、球速アップの兆しも見えてきた。

チームがドラフト2、5位で即戦力左腕を獲得し高まる危機感

 宮崎入り以降は球速を計測していないが、1月のジャイアンツ球場で、例年同時期より3~4キロ速かったという。「このまま、昨年平均143~144キロだった真っすぐが146~147キロになれば、全然違うピッチングができると思います」と表情は明るい。

 新球種のフォークも順調に仕上がっている。「今日はそのフォークを投げませんでした。体がバリバリで、(ピッチング中に打席に立ってもらったコーチに)ぶつけてしまうと申し訳ないからです。疲労が抜けたら、フォークを多めに投げて調整することも考えています。フォーク自体はいい感じですよ」と手応えを得ている。

 チームはドラフト2位で森田駿哉投手(Honda鈴鹿)、同5位で又木鉄平投手(日本生命)と即戦力左腕2人を補強しただけに、内心では危機感を高めている。それでも「今年は自分自身、投げ方を変えましたし、野球がうまくなりそうな雰囲気があります」と実に前向きだ。

 右肩上がりに上達することこそないが、「上がったり下がったりしながら、いろいろ考え抜いて身になると上手くなる。そういう年になりそうな雰囲気は、ありますね」と笑顔を浮かべた。バージョンアップした姿を1軍のマウンドで披露する日が待ち遠しい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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