巨人オコエ「不安もあります」 激戦“外野争い”に本音吐露…過ごした前向きな時間

紅白戦に出場した巨人・オコエ瑠偉【写真:宮脇広久】
紅白戦に出場した巨人・オコエ瑠偉【写真:宮脇広久】

紅白戦2試合無安打も…阿部監督が直接指導後に1軍昇格を明言

 巨人の春季キャンプで2軍スタートとなっていたオコエ瑠偉外野手が、14日から1軍に昇格する。阿部慎之助1軍監督が13日に2軍練習場に足を運び、直接打撃指導した上で昇格を明言した。まずは2年連続の開幕スタメンを目指し、外野の激烈なレギュラー争いに加わる。

「自分は打撃でトップの位置が体の近くに寄ってしまう癖がある。高校時代からの課題で、意識していても体が反対に動いてしまったりする。阿部監督には『ほら、すぐに寄ってしまうじゃないか』と笑いをまじえて指導していただきました」と明かしたオコエ。阿部監督が見守った11日と12日の紅白戦では、計5打数無安打1犠打1四球に終わっていたが、就任1年目の指揮官は結果以上に、オコエの成長を感じ取っていたようだ。

 オコエは楽天で7年間プレーしたものの1軍に定着できず、一昨年12月に現役ドラフトで巨人に移籍。昨年はキャンプを1軍で過ごし、開幕戦(3月31日の中日戦、東京ドーム)のスタメン「1番・左翼」を奪取した。4月22日までは打率3割台(.309)をキープするなど活躍していたが、徐々にバットが湿り、やがて2軍と1軍を往復。8月10日の降格以降は、1軍に戻れなかった。昨季トータルの1軍成績は41試合出場、打率.235(119打数28安打)、2本塁打6打点、1盗塁だった。

 それでもオコエ自身は「昨年何度か2軍へ落ちる時に、原(辰徳前監督)さん、阿部監督(当時はヘッド兼バッテリーコーチ)、他のコーチの方から指摘された反省点があって、シーズン後半は2軍ですごくいい形でできていたと思います」と手応えがあった。昨年イースタン・リーグでは57試合に出場し、打率.306(170打数52安打)、出塁率.362、5本塁打18打点、4盗塁をマークしている。

 今年のキャンプも2軍スタートとなったが、「去年と違って2軍という静かな場所でできて、すごくいい時間を過ごせたと思っています」と前向きにとらえていた。

7月に27歳…本音を吐露「結果を残さなければならない不安もあります」

 阿部監督が現時点でレギュラー扱いしているのは、一塁の岡本和真内野手、三塁の坂本勇人内野手、遊撃の門脇誠内野手の3人のみ。外野は全くの白紙として、競争をあおっている。これまでキャンプを2軍で過ごしてきたオコエも“レギュラー候補”であることに変わりはない。「自分に限らず2軍でやっている選手も、支配下で契約してもらっている選手は全員、戦力と考えられているメンバーだと思っています」と力を込めた。

 この日は、阿部監督とともに2軍練習場を訪れた松井秀喜臨時コーチ(ヤンキースGM付特別アドバイザー)のアドバイスにも耳を傾けた。「いいバッターはみんな、トップを取った位置から一発でバットが出てくる、というお話でした」。そこはオコエ自身の課題と重なる。「自分は意識していても、シーズンを過ごす中でコンディションによって、トップの位置が変わってきてしまったりする」と吐露する。

 今年7月には27歳となり、もはや若手とは言えない年齢になってきた。レギュラー獲得に執念を燃やす一方で、「結果を残さなければならない不安もありますし、いろいろな感情があります」と胸の内をのぞかせる。

 野手では、19歳の育成選手・中田歩夢(あゆむ)内野手とともに1軍昇格を決めたオコエ。15日には宮崎から2次キャンプ地の沖縄・那覇に移動する。野球人生を左右する厳しい戦いがこれから始まる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

JERAセ・リーグAWARD

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY