「台湾、いいじゃない」戦力外も支えた家族の言葉 現役ドラフトから1年…異国で図る再起

台鋼ホークス・笠原祥太郎(左)【写真提供:CPBL】
台鋼ホークス・笠原祥太郎(左)【写真提供:CPBL】

台湾プロ野球の1軍公式戦に参入する台鋼ホークス…2人の日本選手が所属

 今季から台湾プロ野球(CPBL)の1軍公式戦に参入する「第6の球団」台鋼ホークスは日本人コーチが2人、日本選手が2人所属している。選手は笠原祥太郎投手(元中日、DeNA)、小野寺賢人投手(元BC埼玉武蔵)。新天地での活躍が注目される。

 CPBL職員時代は日本側との折衝を行い、日本球界とのパイプをもつ劉東洋GM、日本スタイルの野球を好む洪一中監督が率いる台鋼ホークスには2人の日本人指導者がいる。昨年1月に就任した横田久則1軍投手コーチ、昨年6月にチーム初の外国人選手として入団も、怪我で引退した福永春吾2軍投手コーチ補佐だ。

 1軍参入初年度で、他球団よりも外国人枠が1枠多い(支配下登録5人、投手ないし野手は最多4人まで)台鋼。早々と獲得が決まったのは、NPB通算11勝の笠原、アジアウインターリーグで結果を残した小野寺だった。2人は1月15日に台湾入り。17日のセレモニーに出席し、18日のキャンプ初日から練習に参加した。

 28歳の左腕・笠原は2016年ドラフト4位で中日に入団し、2022年12月の現役ドラフトでDeNAに移籍。昨年10月に戦力外を通告された。日本の独立リーグや社会人野球のオファーもあった中、台湾でのプレーを決めた理由について「『助っ人』という、結果を残せなければすぐにクビを切られてしまう。そんなプレッシャーのある立場で野球をやれることは、なかなかないという思いと、体が動くうちは野球でしっかり稼ぎたいという両方の思いがあった」と説明。12球団合同トライアウトの前から台鋼が声をかけていたことや「台湾、いいじゃない」という家族の後押しも決断の決め手になったという。

 笠原は2018年11月に行われた壮行試合「侍ジャパンシリーズ2018」の台湾戦で先発。2回を1安打無失点と好投した。この試合で投げ合った台湾の先発、江辰晏(現在は江承諺に改名)投手と、2番手で勝利投手になった施子謙投手が、いずれもこのオフにホークスに移籍。3人はチームメートとなり、笠原は「運命みたいなものはあるんですね」と笑った。

笠原祥太郎「日本にニュースが届くくらい活躍したい」

 初めてブルペンに入った2月3日、高雄の気温は27度。「ここまでとは。故郷の新潟は今、雪が降っているっていうのが信じられない。蒸し暑い名古屋の経験はあるけど、いろんな人から台湾の夏は湿度が段違いと聞いているので、できるだけ早く慣れないと」と語った。

 今季の目標について問われ、「毎試合ゲームをつくり、1年間ローテーションを守って、チームの勝利に貢献すること」と強調。さらに「台湾に来ても応援してくれるファンの声援が励みになっている。日本にニュースが届くくらい活躍したい」と力を込めた。

 一方、アジアウインターリーグに「テスト外国人選手」の形で参加。決勝で好投し、優勝に貢献して合格をつかんだ小野寺は「戻ってきたという感じです」と約1か月ぶりの合流を喜んだ。一時帰国中には、埼玉武蔵のファン主催の壮行会に参加。知人や関係者からも激励されたという。

「BCリーグ、日本の独立リーグを代表して台湾で頑張ってほしいというメッセージを受け取ったので頑張りたい。トップリーグの経験はなく、キャリアは浅いが、外国人争いで負けるつもりはない」と熱く語った。さらに「怪我をしないこと。1年間高いレベルでプレーしたい」と冷静さも忘れなかった。埼玉武蔵時代のコーチで、昨夏、楽天モンキーズでプレーした由規投手からは台湾のプレー環境、ボール、食事面などについてアドバイスを受けたという。2人の活躍に期待したい。

(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY