わざと“快打せず”…阪神・中野が描く次なる目標 WBCで気づかされた引き出しの重要性

阪神・中野拓夢【写真:小林靖】
阪神・中野拓夢【写真:小林靖】

阪神の中野拓夢が広島との練習試合に「2番・二塁」で出場し3打席連続安打

 虎の安打製造機が見事な“修正能力”でヒットを量産した。阪神・中野拓夢内野手が、18日に行われた広島との練習試合(コザしんきんスタジアム)に「2番・二塁」でスタメン出場し、3打数3安打と順調な仕上がりを見せた。この試合まで実戦ノーヒットだった昨季の最多安打打者は、わずか1日で本来の姿を取り戻した。その理由にはWBCでの貴重な経験があった。

 初回の第1打席では右腕・斉藤が投じた高めの直球を捉え左中間二塁打を放つと、2回2死一塁で迎えた第2打席でも左前打。さらに4回無死一、二塁の第3打席では左腕・森から外角低めのフォークを拾う、技ありの左前打で3打席連続安打と格の違いを見せつけた。

 紅白戦を含め今キャンプの“実戦初安打”を放った中野は「自分が打席でやりたいことができた。いい感じの内容で過ごせたので良かった」と安堵の表情。これまでは体の開きが早く、ボールを長く見ることができなかったという。本来の打撃を取り戻すべく、前日の室内練習ではマシン相手にフォーム修正に取り組む姿があった。

「マシンでわざとファウルを打つ。そうするとボールを中に入れながら自分のポイントで打てるかなと思って。マシンで前に飛ばすというより横に飛ばす。ファウル打ちのような感覚。気持ち良く打つのは誰でもできるので」

 二塁へコンバートされて迎えた昨季はフルイニング出場を果たし、リーグ最多タイの164安打をマーク。守備でもゴールデン・グラブ賞を獲得するなどリーグ制覇、日本一に貢献。さらに、世界一に輝いたWBCでは侍ジャパンの一員としても貴重な経験を積んだ。出場機会は少なかったが、一流プレーヤーと過ごした経験は大きかった。

 大舞台を経験し、これまで以上に余裕を持ちながらプレーすることはできている。ただ、日の丸を背負った大谷翔平投手(ドジャース)ら主力クラスが結果を残していく姿を目の当たりし「そのへんの引き出しを多く持っていかないと143試合を戦っていく中では(不調に)ハマってしまう。いかにすぐに抜け出すかが大事」と、気づかされた。

 自ら修正ポイントをいち早く理解し、安定した数字、成績を残していく。現状に甘んじることなく、今季は「タイトルは首位打者というところを目標にしています」と言い切る。あくなき探求心と向上心を持つ背番号「51」は今季もチームを引っ張っていく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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