続く他球団からの“お宝”獲得…元HR王が鍵握るロッテの浮上 和製大砲との共存も可能
ロッテに移籍したソトはDeNA時代の2018、19年に本塁打王を獲得
昨年12月14日、ロッテがネフタリ・ソト内野手の獲得を発表した。ソトはDeNAの主砲として6年間にわたって活躍し、2度の本塁打王と1度の打点王を獲得。ロッテでもチームの得点力アップに寄与する働きが期待されている。
ソトは来日1年目の2018年に107試合で41本塁打と驚異的なペースでホームランを量産し、打率.310と確実性も発揮。OPS1.008という圧巻の打棒を見せつけ、NPB初年度で本塁打王を獲得した。
続く2019年には43本塁打、108打点で2年連続の本塁打王と、自身初の打点王の2冠に輝いた。3年目の2020年は新型コロナの影響で短縮シーズンながら25本塁打を放ち、チーム事情に応じて一塁、二塁、外野の3ポジションも兼任した。
2021年は4年連続となる20本塁打をクリアしたが、打率.234、OPS.738とやや成績を落とした。2022年に打率.266、出塁率.342、OPS.815と復調を感じさせたが、2023年は故障の影響もあって自己最少の14本塁打だった。
ソトは来日初年度から2年連続で40本塁打以上を記録し、通算長打率.504と高水準を誇る。また、出塁率と打率の差を示す「IsoD」も通算で.071と一定のレベルにあり、選球眼も決して悪くはない。出塁率と長打力を足した通算OPSも.837で、打者としての生産性の高さは折り紙付き。さらに通算打率.262に対して通算得点圏打率は.279と、チャンスに強い点も頼もしい要素だ。
昨季の安打は中堅方向が28本と最も多く、左翼と右翼への安打数はともに10本。また、左中間が6本、右中間が7本と、外野の間に飛んだ安打も左右でほぼ同じ数字だ。引っ張り専門ではなく、広角に打ち分ける技術を有する長距離砲であることが、これらの数字からも読み取れる。
本塁打は左翼方向が8本と引っ張りが多いが、中堅方向への本塁打も5本記録。また、2023年は逆方向への本塁打が1本のみだったが、2022年は17本塁打のうち6本が逆方向で、自己最多の43本塁打を放った2019年には逆方向に14本塁打を放っていた。新天地で持ち味の逆方向への長打が復活するか否かは、重要なファクターとなってきそうだ。
レアード、ポランコら他球団から加入した外国人選手の活躍例多数
ソトは一塁守備の技術に定評があるだけでなく、過去に二塁と外野を守った経験も持つ。ユーティリティ性はシーズンを通じて多くの選手の打順やポジションを組み替えながら戦った吉井理人監督の采配に、さらなる柔軟性をもたらす可能性もある。
ソトが主戦場とする一塁では、山口航輝外野手がチーム最多となる68試合で守備に就いていた。23歳の山口は2023年にチーム2位となる14本塁打を放ったが、序盤戦の不振もあってOPSは.695にとどまり、2022年の16本塁打、OPS.725から数字を落とした。
その一方で、山口は外野手としても両翼を守って55試合に出場しており、ソトとの共存は十分に可能。昨季のチーム本塁打数がリーグ4位タイの100本と慢性的な長打力不足に悩まされるロッテにとって、ソトと山口がともに復調を果たして打線に並び立つことになれば、チームの課題解消に大きく前進することにもなる。
ソトはNPBでの6年間で161本塁打を記録してきたパワーに加えて、広角に打ち分ける打撃技術も兼ね備える。速球を苦にせず、チャンスで勝負強い打撃を見せるソトの特性は、パ・リーグでの戦いを迎えるにあたってプラスとなることは十分に考えられよう。
ロッテでは過去にもホセ・オーティズ、ジョシュ・ホワイトセル、クレイグ・ブラゼル、ウィリー・モー・ペーニャ、ブランドン・レアード、グレゴリー・ポランコとNPBの他球団で活躍した選手を獲得して貴重な戦力となったケースが多く存在している。
ソトも過去の成功例に続き、幕張の地で確かな存在感を示すことができるか。過去4年間で3度の2位を経験したロッテにとって、ソトの豪打と勝負強さが、2005年以来となる優勝のためのラストピースとなる可能性は大いにあるはずだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)