高卒3年目で侍J入り…広島20歳に新井監督「頭一つ抜けている」 専門家も唸る“資質”

DeNAとの練習試合に出場した広島・田村俊介【写真:小池義弘】
DeNAとの練習試合に出場した広島・田村俊介【写真:小池義弘】

侍ジャパンにも選出された高卒3年目の田村俊介

 広島の高卒3年目・田村俊介外野手が覚醒の予感を漂わせている。昨季は10試合の出場ながら打率.364をマークし、今年3月に行われる「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2024 日本vs欧州代表」に出場する日本代表に選出。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「シーズン後に西川の穴を感じさせなかった、と言わせるポテンシャルはある」と注目した。

 春季キャンプで存在感を示している。178センチ、93キロの高卒3年目の若き大砲候補は、17日のロッテとの練習試合で先制2ランを放つなど自慢の打撃で猛アピール中。野口氏は「打撃練習を見ても率を残せそうなタイプ。かつ、飛距離もしっかり出る。しっかりと準備できたトップの形。スイングを見てもポイントがズレない。必要な形を身に付けている」と分析する。

 21日のDeNA戦では「2番・右翼」で出場し無安打に終わったが、修正能力の高さを感じさせる打席があったという。3回2死走者なしで迎えた第2打席ではカウント2-2から粘り四球を奪いとった。第1打席で空振り三振を喫したチェンジアップを見極め出塁。その後は小園が右前打を放ち得点こそなかったがチャンスを拡大した。

「第1打席はあっさりとした三振。だが、次はフルカウントから同じボールにバットが止まった。この試合は結果こそ出なかったが、ああいった打撃が増えれば自然と率は残ってくる。まだ、高卒3年目だが、彼に必要なものは経験だけではないでしょうか」

外野は秋山、野間のレギュラー当確だが…「年齢的にフルでの出場は難しい」

 もちろん、レギュラーが確約された訳ではない。昨オフにチームの主軸だった西川龍馬外野手がオリックスにFA移籍。3割を期待できる外野手の穴は「あれだけの打者は一人では埋まらない。だが、若手にとっては大きなチャンス」と指摘。侍戦士の田村だけでなく、2年目の久保修、中村貴浩、捕手から本格的に外野に転向した中村奨成らが激しい争いを繰り広げている。

「新井監督も外野で誰を使うか迷っている。『シーズンを通して競争させる』と話していた。その中でも田村と久保に対する期待値は大きいように見えます。打撃では田村は『頭一つ抜けている』と。守備では久保も面白い存在。その中に中村奨の名前もしっかり入っていた。彼も今年が勝負の年。外野手として覚えることも沢山あるが、結果を求められる立場です」

 現状の外野陣では昨季チーム2位の119安打を放った秋山翔吾、4年ぶりに100試合出場を果たし打率.286をマークした野間峻祥の2人が当確。残りの1枠を“ポスト・西川”たちが奪いに行く構図だ。ただ、野口氏は「秋山、野間も年齢的な部分を考えるとフルでの出場は難しい。休ませながらの起用になる可能性が高い」と、田村ら若手たちのチャンスは増えていくと見ている。

 侍ジャパンの井端弘和監督も「レギュラーシーズン次第では日本を代表するバッターになる」と、大きな期待を込める逸材。将来のカープを背負う“金の卵”は一気にブレークすることができるか。背番号「60」から目が離せない。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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