阪神ミエセスが「リスペクト」する日本野球 米国、ドミニカとの違いを実感した“文化”

阪神のヨハン・ミエセス【写真:小林靖】
阪神のヨハン・ミエセス【写真:小林靖】

今キャンプでは実戦を含め打撃で猛アピールが続くミエセス

 球団史上初のリーグ連覇、連続日本一を狙う阪神には、勝負をかける男たちがいる。今回、Full-Countでは来日2年目を迎えた猛虎の助っ人ヨハン・ミエセス外野手に注目。インタビューを行い、チーム、ファンから愛される“ミエちゃん”の今季にかける思いに迫った。後編は文化の違い、愛するチームメートたち。

 チーム屈指の愛されキャラだ。春季キャンプ中も“ミエちゃん”がグラウンドで動くたびに歓声が沸いた。120キロの巨体を揺らした走塁、打撃練習では自慢のパワーで柵越えを連発。開幕に向けての調整は順調そのもの。2月11日の紅白戦で“チーム1号”を放つと、同23日の巨人とのオープン戦初戦でも左翼へ1号ソロと猛アピールしている。

 若手らと共に左翼のポジションを争う立場だが「打順やポジション、試合に出る出ないは自分ではコントロールできない。監督が起用したいと思う姿を見せるだけだよ」と、常に自然体でプレーすることを心がけている。昨季は60試合出場で打率.222、5本塁打、16打点と不本意な成績に終わっただけに、今季にかける意気込みは誰よりも強い。

 来日1年目は日本人投手の対応に苦戦したが、プレー以外にも戸惑うこともあったという。

「一番は言葉が通じないこと。通訳を介して話すことができる環境はあるが、通訳の方も忙しいからね。気を使ったり、日常生活なども大変と感じることはあったよ。移動の際に街並みを見ながら日本語を探したり、スーパーで日本語を学ぶこともありました。異国の地で寂しさを感じることもありましたが、素晴らしい仲間が支えてくれた」

米国、ドミニカと違う野球文化「日本は監督と一定の距離感がある」

 練習中やロッカールームでは糸原健斗、佐藤輝明、中野拓夢らがチームに馴染めるよう、言葉をかけてくれた。身振り手振りでコミュニケーションを取り、個人のSNSでは仲の良い姿を発信。「母国が恋しくて、寂しい時も彼らが来てくれる。スペイン語や日本語でも少しずつ会話もできるようになった。日本人選手には本当に感謝しているよ。『お疲れ様でした』『お前がな!』。日本語もいっぱい教えてくれたんだ」。

 リーグ優勝後のビールかけでは「成績にちなんだ暴れ方をしてください」と“いじって”くれた岡田彰布監督にも感謝は尽きない。

「おはようございます。お疲れ様です。日本は挨拶もしっかりするし、相手を敬う。この文化を非常にリスペクトしています。アメリカ、ドミニカでプレーしていた時は首脳陣との距離は近かった。フランクに話すこともあったが、日本は監督と一定の距離感があります。岡田監督はプレーヤーとしても素晴らしい結果を残した方。去年も色々と気にかけてもらい感謝している。尊敬できるボスだよ」

 今季は新たな打撃フォームにも挑戦し、その結果は着実に現れてきている。「まだまだ良くなっていく。一日一日を悔いなく過ごし、いいスタート(開幕)を切れるように頑張るだけ。ファンの声援に応える活躍を見せることができれば」。ミエセスがレギュラーを掴み、昨季以上の成績を残すことができれば、“アレンパ”は近付いてくる。今シーズン、背番号「55」が進化した姿をみせてくれるはずだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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