目を覆った現実、大谷の一撃に「許して…」 “休職アナ”が見た藤浪の衝撃デビュー

アスレチックス時代の藤浪晋太郎(左)と服部優陽アナウンサー【写真提供:関西テレビ服部優陽アナウンサー】
アスレチックス時代の藤浪晋太郎(左)と服部優陽アナウンサー【写真提供:関西テレビ服部優陽アナウンサー】

藤浪晋太郎を追って“休職”した服部アナ、デビュー戦に「今日だけは許して…」

 デビュー戦の興奮を忘れられない。オリオールズからフリーエージェント(FA)となり、14日(日本時間15日)にメッツと正式契約を交わした藤浪晋太郎投手。阪神在籍時から親交の深い関西テレビの服部優陽アナウンサーは、本業を“休職”してメジャー1年目の昨季の躍動を見届けた。

 昨年4月1日(同2日)、オークランドコロシアムの三塁側ベンチ上で武者震いをした。「ものすごくワクワクしましたね。オープン戦の活躍は映像で見ていましたけど、実際、メジャーの舞台で投げる姿を見るのは、その日が初めてだったので」。藤浪がベンチを飛び出すとボン・ジョヴィの「イッツ・マイ・ライフ」が鳴り響いた。

「本当にメジャーリーガーになったんだな……と鳥肌が止まりませんでした。アメリカのファンから『フジ!』と言われてるの見て、今まで見たことない景色だなと。初回の立ち上がり、マイク・トラウトから三振を奪ってすごく興奮しました。マジでメジャーでやれるんだ……と。夢を見ている感じで、あっという間でした」

 2回まで6者連続でアウトを奪うなど、上々の立ち上がりだった。ただ、3回に2点を失うと、打席には大谷翔平投手を迎えた。「1打席目は打ち取っていたので、2打席目も頼む……と祈っていました」。結果は左翼フェンス直撃の適時二塁打。現実は甘くなかった。

 服部アナの本音は「スタンドに入らなくて良かった……」だった。「フェンス直撃だったので。結構、良い角度で打球が上がっていたから(スタンドに)入るんじゃないかと。大谷さん、すげぇなと」。目を覆うしかなかった。

「あのタイミングはちょっと、打たれ始めていて。正直、同じ日本人だから、許してやってよ……と思いました。今日だけは許して……みたいな」

 メジャーの舞台でのデビュー戦は3回途中5安打8失点で敗戦投手。「心配半分。嬉しさ半分でした。すごく特殊な感情。(選手の)お父さんとかお母さんって、こんな感じなんだろうな……と」。休職して“寄り添う”と決め、目撃したデビュー戦。衝撃の連続が、始まったばかりだった。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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