1軍キャンプ抜擢でブレークしたパの“逸材”たち 低迷からの脱却や即戦力ルーキーも

オリックス・東晃平(左)と楽天・小郷裕哉【写真:荒川祐史、矢口亨】
オリックス・東晃平(左)と楽天・小郷裕哉【写真:荒川祐史、矢口亨】

日本ハムの細川は昨季一気に出場機会増、楽天の小郷はキャリアハイ

 球春の到来を告げる春季キャンプが各地で行われたが、1軍メンバーには主力選手だけではなく、飛躍が期待される若手選手が含まれることも少なくはない。今回は昨年のキャンプで1軍メンバーに抜擢され、開幕後も活躍を見せた選手たちについて、パ・リーグの各球団ごとにピックアップする。

 日本ハムの奈良間大己内野手は2022年のドラフト5位と下位指名ながら、1年目のキャンプで1軍メンバーに抜擢された。シーズンに入ってからも内野の3ポジションをこなしながら65試合に出場し、打率.243と一定の数字を記録。内野のスーパーサブとして存在感を放った。

 細川凌平内野手は2022年までの3年間で1軍出場が29試合だったが、2023年は1軍キャンプにも選ばれ、開幕後も内野の全ポジションと外野を守るマルチな才能を発揮。過去3年の倍以上となる60試合に出場し、さらなる活躍に期待を持たせた。

 韋駄天の五十幡亮汰外野手は将来を嘱望されながら怪我に泣かされ、2年間でわずか33試合の出場にとどまっていた。だが、2023年はキャンプから1軍スタートを切り、2度の離脱がありながら70試合に出場して17盗塁を記録。持ち前の脚力の一端を示し、確かな足跡を残した。

 楽天ではプロ入り後の2年間で1軍登板がなかった内星龍投手が、2023年のキャンプで1軍に抜擢。開幕後も4月下旬からブルペンに定着し、53試合に登板して防御率2.28と好成績を残した。キャンプでの抜擢をシーズンでの飛躍につなげた、典型的な例だ。

 渡辺翔太投手もルーキーながら春季キャンプで1軍に抜擢。6月に1軍に昇格して以降はリリーフとしてフル回転。51試合で25ホールド1セーブ、防御率2.40と勝ちパターンの一角として機能し、新人王の投票でも2位に入るなど、1年目から出色の活躍を披露した。

 小郷裕哉外野手は2021年から2年連続で打率1割台と苦しみ、2022年はわずか10試合の出場に終わった。だが2023年は春季キャンプで1軍切符を掴むと開幕後も躍動。自己最多の120試合で打率.262、自己最多の10本塁打で外野のレギュラーとして活躍した。

西武の古賀は12球団トップの盗塁阻止率.412をマーク

 西武のドラフト4位ルーキーだった青山美夏人投手は、昨季の開幕戦でクローザーとして起用されるなど高い期待をかけられ、年間を通じて1軍でプレー。39試合で防御率2.96と安定した投球を見せた。

 同じく2023年が1年目だった児玉亮涼内野手は、ドラフト6位と下位入団ながらキャンプで1軍メンバー入り。そのまま開幕を迎え、WBCで負傷した源田壮亮内野手の代役を務めるなど、56試合に出場して攻守で奮闘した。

 プロ1年目の2022年に26試合に出場した古賀悠斗選手は、2023年は春季キャンプから1軍で開幕1軍入りを果たすとそのまま主戦捕手となり、チームの捕手で最多の100試合に出場。リーグトップの盗塁阻止率.412を記録した。

 ロッテの友杉篤輝内野手はルーキーながら春季キャンプからアピールに成功。シーズン終盤まで1軍に帯同し、64試合で打率.254の成績を記録。守備と走塁でも高いセンスを随所で発揮し、1年目からショートの定位置を争った。

 2022年はわずか1試合の登板で防御率27.00と苦しいシーズンを送っていた横山陸人投手は、2023年に38試合と登板機会が大幅に増加。奪三振率9.61と持ち味を発揮して10ホールドポイント・1セーブを記録するなど、一時は勝ちパターンの一角として奮闘を見せた。

 池田来翔内野手は1年目の2022年に11試合で打率.091とプロの壁に苦しんだが、2023年は確実性が大きく向上。開幕1軍入りはならなかったが、5月に月間打率.373と大活躍。右手薬指の骨折もあって40試合の出場にとどまったものの、確かな成長を示した。

オリックスの東は夏以降に無傷の6連勝

 オリックスに育成選手として入団した助っ人のレアンドロ・セデーニョ内野手は、春季キャンプからAグループに帯同。開幕後も2軍で持ち前の打棒を見せ、5月に支配下選手登録を勝ち取る。1軍昇格後はわずか57試合で9本塁打を放って一時は4番も務めるなど、長距離砲として随所で存在感を発揮してみせた。

 東晃平投手は春季キャンプで1軍入りを果たしたものの、開幕後は中継ぎとして結果を残せず、再調整を余儀なくされた。だが7月末に1軍に再昇格して以降は先発として無傷の6連勝を記録し、シーズン防御率2.06という抜群の投球を披露してブレークした。

 宜保翔内野手は2020年から3年連続で打率1割台と苦しみ、1軍定着のきっかけを作れずにいたが2023年は春季キャンプで1軍に呼ばれると、シーズンでも打率.279。出場試合数も62試合と大きく増加し、飛躍のきっかけをつかむシーズンを送った。

 ソフトバンクの大津亮介投手はルーキーながら春季キャンプを1軍で迎え、そのまま開幕1軍入り。開幕後もリリーフとしてフル回転の活躍を見せ、46試合で13ホールド、防御率2.43と安定した投球を披露。ブルペンに欠かせないピースとして奮闘した。

 巨大戦力を誇るチームなだけあり、キャンプの1軍メンバーも大半は実績組が中心。川瀬晃内野手は2022年の時点で73試合と一定の出場機会を確保していたものの、2023年もキャンプから1軍に帯同し、自身初の100試合以上に出場。打席数も前年の106から208とほぼ倍増させ、内野のスーパーサブとしてこれまで以上に存在感を放った。

 今季も春季キャンプで1軍抜擢された選手の中から、開幕後に1軍で台頭をする姿を見せる存在が現れるはず。若手選手たちの躍動に、注目が集まるばかりだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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