ドラ1左腕の“成功率”は? 侍J入りやメジャー挑戦も…パ投手たちが証明した実力

オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】
オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】

今季のパ・リーグは4球団がドラフト1位で左腕を指名

 2023年のドラフトでは、パ・リーグ6球団のうち4球団が、ドラフト1位指名で左投手を獲得した。日本ハムが細野晴希投手、楽天が古謝樹投手、西武が武内夏暉投手、ソフトバンクが前田悠伍投手を獲得。いずれもプロでの活躍が期待される“逸材”だ。ドラフト1位でプロ入りした左腕は過去にも数多く在籍したが、プロ入り後の“成功率”はどうだったのか。2010年以降にパ・リーグのチームへ入団したドラフト1位左腕を振り返って行きたい。

 楽天の森雄大氏(2022年限りで引退)は2013年ドラフト1位で入団。相次ぐ故障の影響で1軍定着を果たせなかった。2014年ドラフト1位で入団した松井裕樹投手(パドレス)はクローザーとしての活躍を披露。通算3度のセーブ王に輝いただけでなく、2023年に史上最年少となる通算200セーブを達成。NPB歴代6位となる通算234セーブを記録するなど、球史に残る守護神の1人として杜の都のマウンドに君臨した。

 2011年ドラフト1位の塩見貴洋氏は、プロ1年目の2011年に規定投球回に到達し、9勝9敗、防御率2.85の投球を披露した。その後も2桁勝利を挙げたシーズンこそなかったものの、貴重な左の先発として奮闘。2023年に引退するまでに876回1/3を投げ、防御率3.80と安定した数字を残し続けた。

 2016年に日本ハムからドラフト1位指名を受けて入団した堀瑞輝投手は、プロ3年目の2019年に53試合に登板して台頭。その後は左のリリーフとして4年連続で40試合以上に登板。2021年には60試合で防御率2.36とフル回転し、3勝と39ホールドを挙げて最優秀中継ぎ投手のタイトルにも輝く自己最高のシーズンを送った。

 オリックスの宮城大弥投手は2019年ドラフト1位で入団。プロ2年目の2021年にブレークし、13勝4敗、防御率2.51の好成績で新人王を受賞した。その後も左のエースとして躍動し、3年連続で2桁勝利を記録。リーグ屈指の左の先発へと成長を遂げ、リーグ3連覇にも大きく貢献している。

 2011年のドラフト目玉として3球団が競合した藤岡貴裕氏は、規定投球回への到達こそなかったものの、プロ1年目から3年連続で115イニング以上を投じた。オリックスから2012年ドラフト1位で入団した松葉貴大投手はプロ2年目の2014年に8勝1敗、防御率2.77の成績で優勝争いに貢献する活躍を見せた。

高卒ドラフト1位左腕では松井、堀、宮城がタイトルホルダーに

 2014年ドラフト1位でオリックスに入団した山崎福也投手は、新人年からの6年間は安定感を欠く投球が目立ったが、2021年以降は先発陣の一角に定着。2023年には自身初の2桁勝利を挙げるなど、リーグ3連覇に大きく貢献した。2015年に日本ハムからドラフト1位指名を受けた上原健太投手も、プロ入りから5年間は苦しんだが、2022年に25試合で防御率3.19を記録し、2023年は初めて年間100イニング以上を消化して防御率2.75と大きな成長を見せている。

 2020年ドラフト1位で楽天に入団した早川隆久投手は、プロ1年目の2021年に先発として9勝を記録。その後は故障に苦しむも、先発として3年続けて防御率3点台を記録している。同年にドラフト1位でロッテ入りした鈴木昭汰投手は、プロ1年目から先発と中継ぎを兼任して23試合に登板し、2023年はロングリリーフとして防御率2.76と好投を見せた。

 2021年に西武からドラフト1位指名を受けた隅田知一郎投手、プロ1年目の2022年こそ1勝10敗と苦しんだが、2023年は9勝10敗と大きく数字を改善させ、左のエース格へと成長を遂げた。2022年に日本ハムからドラフト1位指名を受けた「二刀流」の矢澤宏太投手は、野手としての起用が中心でルーキーイヤーの1軍登板は2試合のみ。同年にオリックスからドラフト1位指名を受けた曽谷龍平投手は昨季のシーズン最終戦で嬉しいプロ初勝利をマークしている。

 高校からドラフト1位でプロ入りした4投手のうち、松井、堀、宮城の3投手はプロ入り後にタイトルホルダーとなっている。高校生投手は将来性が期待される部分も大きいが、4名中3名がプロ入り後に大きな成長を示している。

 プロ入り後は故障に苦しめられた森氏と1年目のシーズンを終えたばかりの矢澤、曽谷を除けば、すでにプロの舞台で一定以上の活躍を見せている。今季からプロの世界に飛び込んだ4投手にも「成功例」の多い先人たちに続く活躍を期待したいところだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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