専門家が絶賛…青学大・西川は「間違いなく1位指名」 侍Jで示した“大物の資質”

欧州代表戦に出場した青学大・西川史礁【写真:小林靖】
欧州代表戦に出場した青学大・西川史礁【写真:小林靖】

ヤクルト、日本ハムなど4球団で活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析

「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」第1戦が6日、京セラドームで行われ、日本が5-0で快勝した。大学生でトップチームに抜擢された西川史礁(みしょう)外野手(青学大)が途中出場し、打っては2打数2安打1打点、中堅守備でも好守を披露した。ヤクルト、日本ハムなど4球団で活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「4年後の2028年ロサンゼルス五輪で、侍ジャパンの主力を張っていてほしい選手」と絶賛する。

 侍ジャパンの井端弘和監督は欧州代表戦2試合に、あえて大学生4人をメンバー入りさせた。西川、宗山塁内野手(明大)、金丸夢斗投手(関大)、中村優斗投手(愛工大)だ。アマチュアナンバーワン遊撃手で今秋ドラフトの目玉といわれる宗山は、第1戦当日の試合前に右肩甲骨骨折が判明し出場できなかったが、西川がその宗山の分まで存在を猛アピールした。

 5回の攻撃で、一塁走者の塩見泰隆外野手(ヤクルト)の代走として登場。そのままセンターの守備に就くと、直後の6回、欧州代表のマレク・フルプ外野手が放った飛球を背走しランニングキャッチ。スタンドを沸かせた。

 西川に初打席が回ってきたのは、4-0とリードして迎えた6回2死一、二塁の好機だった。ここで欧州代表は、ダニエル・アルバレス投手からフランクリン・ファンフルプ投手にスイッチした。それでも右打席に立った西川は、ファンフルプが初球に投じた内角高めの142キロのツーシームを迷わずフルスイング。打球は三塁線を破り、ダメ押しの適時二塁打となった。

 野口氏は「まだプロに入っていない選手が、いきなりトップチームで出たわけですよね? しかも一緒に代表入りした宗山くんが怪我で出られなくなり、余計緊張していたと思います。その中で、あれだけバットを振れただけでも大したものです」と絶賛する。

 西川は8回2死一塁の第2打席でも、左腕ルイス・ルゴに対し、カウント1-0から2球目の144キロ速球を左前打。ここでもまたファーストストライクを逃さずとらえた。

大舞台で強み…日米大学野球全試合で4番を務め打率チームトップ

 もともと大舞台に強い。昨年は全日本大学選手権、明治神宮大会で本塁打を放ち、7月の日米大学選手権では、全5試合で侍ジャパン大学代表の4番を務め、チームトップの打率.316(19打数6安打)をマークした。野口氏は「野球選手には、緊張すると全然ダメなタイプと、適度に緊張した方が力を発揮できるタイプがいますが、西川くんは後者なのでしょう。大物の予感。それしかありません」と感嘆するしかない。

 プロの評価も高騰しそうだ。野口氏は「最近は左打者偏重の編成となっているチームが多い。右打ちの外野手が足りていないチームは、みんな欲しいでしょう。おまけにセンターをこなせて、足も遅くない。今秋のドラフトでは間違いなく1位指名されると思います」と見る。

 大学日本代表で4番を打った選手はこれまで、レッドソックス・吉田正尚外野手、阪神・大山悠輔内野手、オリックス・頓宮裕真捕手、DeNA・牧秀悟内野手など、プロ入り後も大成しているケースが多い。西川もその系譜を継ぐ存在と言えそうだ。

 また、昨秋に就任した井端監督は、今年11月の国際大会「ラグザスpresents 第3回WBSCプレミア12」のみならず、2026年の次回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、2028年ロサンゼルス五輪までを見据え、勝利を最優先しつつ、長い目で日本国内の若手を積極的に選出し育成していく方針だ。今回、大学生4人をメンバー入りさせた狙いもそこにある。

 野口氏は「西川くんにはロサンゼルス五輪では、侍ジャパンの主力を張っていて欲しいですね」とうなずく。西川自身、試合後にお立ち台に呼ばれ「WBCに出たいという思いが強いので、プロに入った後も、ジャパンに入れるように頑張りたいです」と胸の内を明かした。プロ野球ファンへ向け、名刺代わりのアピールに成功したスラッガーは、このままスターダムに駆け上がるのだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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