台頭する“打てる逸材”25歳…侍J正捕手争いの行方は? 専門家が分析する条件

欧州代表戦に出場した広島・坂倉将吾【写真:荒川祐史】
欧州代表戦に出場した広島・坂倉将吾【写真:荒川祐史】

現役時代に4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏が分析

 侍ジャパンの正捕手の座を射止めるのは誰か。「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」第1戦が6日、京セラドームで行われ、日本が5-0で快勝した。スタメンマスクを被ったのは坂倉将吾捕手(広島)で、8回から古賀悠斗捕手(西武)に代わり、6投手による完封リレーをアシストした。

 井端弘和監督の初陣となった昨年11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」では、選手の参加資格が基本的に24歳以下または入団3年目以内に限られていた中で、当時7年目・25歳だった坂倉がオーバーエージ枠(3人まで)の1人として選出され、決勝を含め4試合中3試合で先発。井端監督の下では、坂倉が一歩リードしているように見える。日本球界で数少ない“打てる捕手”の1人だ。

 今年11月には「ラグザスpresents 第3回WBSCプレミア12」が控えているが、国際大会で捕手に求められる条件とは何だろう。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で計21年間活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「洞察力だと思います」とズバリ。「相手は初対戦の打者ばかりですから、事前にスコアラー陣からある程度データがもたらされるとはいえ、やはり試合の中で相手打者の特長、狙いを察知することが大切になります。引き出しの多い捕手でないと、状況の変化やデータと実際のギャップに対応できないでしょう」と説明する。

 今回の欧州代表戦2試合には、坂倉、昨季パ・リーグトップの盗塁阻止率.412を誇った古賀とともに、山本祐大捕手(DeNA)もメンバー入りしている。一方、栗山英樹前監督の下で世界一に輝いた昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では全7試合中、準決勝・決勝を含む4試合で中村悠平捕手(ヤクルト)、3試合で甲斐拓也捕手(ソフトバンク)が先発。大城卓三捕手(巨人)が控える形だった。

リードする投手陣は世界一「あとはリード次第」

 井端監督は今年のプレミア12のみならず、2026年の次回WBC、28年のロサンゼルス五輪まで視野に入れ、勝利を優先しながら、長い目で若手を育成する方針を明確にしている。野口氏は「そういう意味では、プレミア12では若い捕手が主力となり、ベテランの中村(33歳)あるいは甲斐(31歳)が支える形が理想ではあるかもしれません」と指摘する。

 とは言え、「中村と甲斐もまだまだ老け込む年齢ではない。実際の正捕手争いは、今季公式戦の成績、内容次第でしょう。WBCで選ばれた3人、欧州代表戦に選ばれている3人に加え、森(友哉捕手=オリックス)、若月(健矢捕手=同)らも候補だと思います」と見る。

 リードする投手陣は、この日もレベルの高いところを存分に見せつけた。「日本の投手陣は現状で世界一だと思います。宮城(大弥投手=オリックス)にしても、森下(暢仁投手=広島)にしても、ストレートで押すこともできますし、変化球でかわすこともできる。何よりコントロールがいい。あとは捕手のリード次第でしょう」と野口氏は言う。

 今後長年にわたって侍ジャパンを支える正捕手が台頭するか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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