快挙の裏で…侍Jに見えた課題 プレミア12にない“MLB戦士の助言”、世界一に必要な対策

侍ジャパン・井端弘和監督【写真:小林靖】
侍ジャパン・井端弘和監督【写真:小林靖】

6人による継投完全試合も…打線は5安打2得点

 快挙達成の裏には課題が残る部分もあった。野球日本代表「侍ジャパン」は7日、「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」第2戦で、6投手によるリレーで“継投完全試合”を達成した。一方で打線は5安打2得点に終わり、いずれも失策が絡んだ得点。井端弘和監督も「秋に向けてはそこをやらないといけないのかなと思います」と冷静だった。

 この日、投手陣は圧倒的だった。先発した金丸夢斗投手(関大)、2番手中村優斗投手(愛工大)の大学生コンビが1巡目をパーフェクトに抑えると、プロの先輩方が続いた。6投手のリレーで最後は種市篤暉投手(ロッテ)が9回を3者三振で締めた。

 侍ジャパン史上初となる“継投完全試合”。球場が大歓声に包まれた一方で苦戦したのは打者陣だ。2回に山本祐大捕手(DeNA)の犠飛で先制し、8回にも追加点を挙げたが、いずれも失策が絡んだ得点。そのため、欧州投手陣の自責点はゼロだった。

 前日6日の試合はチームで11安打を放ったものの、2番手・シュナイダーには130キロ台の直球に苦戦し打者4人をパーフェクトに抑え込まれた。タイミングが合わない場面も多く、5回までに5個の三振を奪われていた。課題だったのは外国人選手特有の動く球への対応。井端監督も「バッタ―との間合いというところでは苦戦したかなと思います」と反省する。

WBCではメジャーリーガーが活躍も…プレミア12はNPB中心の構成に

 今大会は11月の「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」へ向けた強化試合となっている。日本は2019年以来となる2大会連続の世界一に期待がかかっている。昨春のWBCでは、大谷翔平投手やラーズ・ヌートバー外野手らメジャーリーガーが出場。大会期間中には相手投手の傾向や動く球への対策を話し合う場面が多く見られた。一方のプレミア12では、過去2回ともメジャーリーガーの出場はなく、NPBのみでの構成となっていた。そのため、MLB経験者の知見を借りずに自らで対策していくしかなくなってくる。

 シーズン開幕前の3月ということもあり、井端監督も「打者の完全に仕上がってからの話だと思いますので」と焦ってはいない。とはいえ、「秋に向けての対策はデータなどもしっかりとって踏まえてね。こちら(首脳陣側)がそこをやらないといけないのかなと思います」と冷静に振り返った。

 欧州相手に2試合とも完封勝利し、その内1試合は完全試合という最高の結果で終わった今回の強化試合。しかし、本番はそう簡単にはいかないことも分かっている。レギュラーシーズンが始まる中、井端監督を中心とした首脳陣も、世界一に向けた準備を進めていく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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