キャンプ前日に「任せた」 DeNA三浦監督、東克樹への通達が“異例”の早期だったワケ

DeNA・東克樹(左)と三浦大輔監督【写真:町田利衣】
DeNA・東克樹(左)と三浦大輔監督【写真:町田利衣】

開幕投手&監督としていまだ白星なしの三浦監督「東が止めてくれます」

 DeNAの三浦大輔監督は7日、今季の開幕投手を東克樹投手に託すことを公表した。2年ぶり2度目となる左腕には、キャンプイン前日の1月31日という“異例”の早期通達をしていたことも明かした。現役時代に7度大役を務めた指揮官が自身の経験から伝えたのは、不安を受け止めるという心得だった。

 東は初めて開幕投手を務めた2022年は、広島相手に5回8安打2失点で敗戦投手となった。しかし左肘のトミー・ジョン手術からの復帰翌年でまだ手探りだった前回とは違う。昨季24試合で16勝3敗、防御率1.98、勝率.842で最多勝&最高勝率のタイトルを獲得、ベストナインにも輝いた。「2年前とは状況も違いますし、今自分の中では落ち着いて開幕に向けて調整ができているので、また2年前とは心境が変わっていると思います」と話す表情には、自信の色がにじんだ。

 そんな左腕へ、2月の春季キャンプ中盤に三浦監督が伝えたことがある。「不安はなくならないよという話はした。調子がよくても不安は絶対に消えないし、悪ければ悪いで不安はある。不安はあるものだと受け止めて準備してくれたらいい、開幕のマウンドに上がってくれたらいいという話はしました」。

 開幕戦には“ならでは”の独特な雰囲気がある。いくら普段通りにやろうと思っても、チームもファンも周囲も、特別感は出る。だからこそ「試合が始まれば1球でも早く自分の球を投げられるように。だから不安を受け止めた上でマウンドに立って、力を出すことに集中してくれれば」と願った。

東は一昨年に敗戦投手「糧としてマウンドに上がってもらえれば」

 指揮官自身、現役時代は長らくエースとして活躍し、実に7度も開幕戦のマウンドに立っている。しかし1度も白星を手にできず、開幕戦の7連敗はNPB記録となっている。「僕はそうですね……色々ありましたけど」と苦笑いを浮かべながら「それも野球人生でいい財産になっていくので、東も1回経験しているので糧として今年のマウンドに上がってもらえれば」と期待を込めて送り出す。

 監督となって4年目。キャンプイン前の開幕投手の通達を「今年は早かったと思います」と明かす。それはなぜなのか。「昨年もマウンドの姿もそうですけど、登板と登板の間の練習の姿勢を見てもしっかり準備していた。早めに伝えて、気持ちを持ってキャンプに取り組んだ方がいいと判断したので、キャンプ前に伝えました」と説明。そこにも確かな信頼が見えた。監督としてもいまだない“開幕白星”へ「東が(連敗を)止めてくれます」と言い切った。

 29日、本拠地で迎えるのは2年前と同じ広島だ。「僕自身、気合も入っていますし、リベンジしたいという思いだけで頑張りたいと思います」と東。ひと回りもふた回りも成長した背番号11が、2024年のDeNAベイスターズの命運を担う。

(町田利衣 / Rie Machida)

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