評価高めた侍投手陣…“衝撃無双”は「うれしい悩み」 専門家も称賛した「メリハリ」

欧州戦に登板した侍ジャパン・金丸夢斗(左)と中村優斗【写真:小林靖】
欧州戦に登板した侍ジャパン・金丸夢斗(左)と中村優斗【写真:小林靖】

4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析

 快挙達成の理由とは──。「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」の第2戦が7日、京セラドームで行われ、野球日本代表「侍ジャパン」の6投手は1人の走者も許さず“継投完全試合”を達成。2-0で2連勝を飾った。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「若い投手たちが緊張感の中で存分に実力を発揮した」と分析した。

 先発左腕・金丸夢斗投手(関大)の2回パーフェクト4奪三振の快投を手始めに、中村優斗投手(愛工大)が1回、松山晋也投手(中日)が1回、渡辺翔太投手(楽天)が1回、隅田知一郎投手(西武)が2回、種市篤暉投手(ロッテ)も2回をピシャリ。欧州代表のバットが空を切り、計15三振を奪ったところに凄みがあった。

 今年11月には国際大会「ラグザスpresents 第3回WBSCプレミア12」が控えており、選手たちの日の丸に懸ける思いは熱い。野口氏は「大学生の2人をはじめ、若い投手たちが緊張感の中で存分に実力を発揮したことが完全試合達成の第1の要因。全員がしっかり腕を振り、制球が安定していて、ストライクを取るのに苦労する投手がいませんでした」と評した。

 一方で「捕手陣の好リードも指摘しておきたいです」とも。「第1戦に先発した坂倉(将吾捕手=広島)もそうでしたが、この日スタメンマスクをかぶった山本(祐大捕手=DeNA)、7回から出場した古賀(悠斗捕手=西武)が、各投手の持ち味をうまく引き出していました。国際試合では、他球団所属の投手などに気を遣い過ぎて、投手が投げたい球種を投げさせるだけになりがちですが、今回はしっかり各投手と向き合い、相手打者の反応も見ながら、配球を組み立てていたと思います」と褒めた。

 さらに「欧州代表の打者が、全くタイミングの合わない空振りを繰り返していたのが、その証拠です。渡辺のパーム、隅田のチェンジアップなど、特殊な変化球が威力を発揮したのも確かですが、配球に緩急、メリハリが効いていました」と説明する。

「メジャーリーガー参戦のWBCに選ばれることが最高の名誉」

 また、侍ジャパン初選出の渡辺がお立ち台で「(ジャパンへの思いは)とても強いです」と力を込めたように、各選手のモチベーションは非常に高かったようだ。昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンが大谷翔平投手(ドジャース)らの活躍で世界一の座を奪回し、日本中を熱狂させた影響があるのかもしれない。

「それはあると思います。みんなが今年のプレミア12以上に、大谷や山本由伸(投手=ドジャース)、今永(昇太投手=カブス)らメジャーリーガーの参戦も予想される2026年の次回WBCに選出されることを、最高の名誉と捉えていると思います」

 今回は第1戦に登板した6投手も、欧州代表を6安打完封。2試合計18イニングで相手に1点も許さなかった侍ジャパン投手陣の充実ぶりは、目を見張るものがある。

「これでもまだ、12球団の開幕投手級でメンバー入りしていない投手がいる。巨人の戸郷(翔征投手)、DeNAの東(克樹投手)、昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップで先発し好投した楽天・早川(隆久投手)らです」。プレミア12へ向けて「井端弘和監督は(メンバー選考が)嬉しい悩みでしょう」と目を細めた。侍ジャパンの強化は“世界一”の誇りを守るため、順調に進んでいるようだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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