逸材揃いの侍Jで目に留まった4人 専門家激賞…完全継投で「最も投げにくかった」右腕

侍ジャパン・山下舜平大、隅田知一郎、松山晋也、宮城大弥(左から)【写真:小林靖】
侍ジャパン・山下舜平大、隅田知一郎、松山晋也、宮城大弥(左から)【写真:小林靖】

野球解説者、野口寿浩氏が挙げる“株”を上げた4投手

 日の丸を背負った経験がシーズンにも生きる。6、7日に京セラドームで行われた「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」2試合で、野球日本代表「侍ジャパン」の投手陣は目を見張る充実ぶりだった。6日の第1戦は6投手継投で欧州代表を6安打完封。7日の第2戦は6投手の継投で1人の走者も許さず“完全試合”を達成。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏は“株”を上げた4人の名前を挙げる。

 まずは、中日の松山晋也投手だ。第2戦で先発した関大の金丸夢斗投手、2番手の愛工大・中村優斗投手がピシャリと抑えた後を受け、松山は4回に登板した。「完全試合を達成した6投手のうち、一番投げにくかったのが松山でしょう。昨年6月に育成から這い上がり、いきなり好成績(36試合17ホールド、防御率1.27)を挙げた成長株ですが、大学生の金丸、中村が先に快投を演じ、プロとして負けるわけにいかないというプレッシャーがあったはずです」。

 それでも松山は、先頭の1番デラノ・セラッサ外野手をストレートで追い込み、フォークで空振り三振に。後続の2人も、最速156キロを計測したストレートとフォークの2球種で打ち取り、1イニングを抑え切った。

 中日は守護神のライデル・マルティネス投手が絶対的な安定感を誇るだけに、8回を担うセットアッパーの人選が浮沈の鍵を握る。「春季キャンプ中に小田幸平捕手コーチに聞いたところ『セットアッパー候補は10人くらいいます。(競争は)エグいです』と言っていました」と明かした。「確かに、清水(達也)、ヤクルトから現役ドラフトで移籍した梅野(雄吾)、勝野(昌慶)、藤嶋(健人)、祖父江(大輔)らめじろ押し。その中でも、松山がこの調子なら有力でしょう」。

山本由伸が抜けても…オリックスは「スカウティングの勝利」

 6、7回の2イニングを抑えた西武の隅田知一郎投手の投球も、インパクトがあった。6回は3者連続三振。この回に5球投げた得意のチェンジアップは、全球相手打者を空振りさせた。プロ1年目の2022年は1勝10敗と大きく負け越したが、昨季は9勝10敗で防御率3.44。野口氏は「ルーキーイヤーも打線との兼ね合いが悪かっただけで、内容は良かった。さらに安定感を増しています」と絶賛。西武では先発ローテーションの軸としての働きが見込まれている。

 6日の第1戦に登板した中で目を引いたのは、オリックス勢2人だった。2回無安打2奪三振無失点だった宮城大弥投手の安定感と、2回無失点で最速159キロを計測した山下舜平大投手の迫力だ。昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した22歳の宮城にも、昨季新人王の21歳の山下にも、まだまだ伸びしろがあり、山本由伸投手(ドジャース)が抜けたオリックスの今季開幕投手を争う2人でもある。

 野口氏は「オリックスは近年のドラフト戦略が的中。宮城は2019年の1位指名、山下は2020年の1位で、2022年1位の曽谷(龍平投手)も今年のオープン戦で台頭しています。スカウティングの勝利だと思います」絶賛する。次々と逸材が育ち、リーグ3連覇を達成。エースの山本が抜けた今季も優勝候補に挙がる理由だろう。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY