「制球難も持ち味」揶揄された元ドラ1 平均球速4キロ増…三浦監督も驚いた“進化”
DeNA浜口を三浦監督も称賛「キャンプからストレートが強くなっている」
昨季自己ワーストの3勝(7敗)に終わったDeNAの浜口遥大投手が、復活へステップを踏んでいる。10日に本拠地・横浜スタジアムで行われた西武とのオープン戦で、2番手として5回から登板。4回1安打1四球無失点に抑え、開幕ローテーション入りへ前進した。
三浦大輔監督も「今年の浜口はキャンプからストレートが強くなっていますし、今日はチェンジアップもしっかりブレーキが効いていた。よかったと思います」と称える内容だった。
44球中、約64%の28球を占めたストレートが最速148キロをはじめ、平均で145.6キロをマーク。昨年のシーズン中に比べて3~4キロ速く、割合も高かった。ストレートが走っていた分、得意のチェンジアップやカーブ、スライダー、フォークもより効果的だった。
「僕の場合は緩急をつけることが身上なので、まず相手打者がストレートを意識してくれないとピッチングになりません。平均球速を上げることをテーマに、いろいろな取り組みをしてきました。今くらいの球速で、もっと長いイニングを投げても落ちなくなれば一番いいと思います」と手応えありげにうなずいた。
5回2死一塁では、アンソニー・ガルシア外野手をストレート2球で追い込み、チェンジアップを振らせて3球三振。6回1死走者なしではメジャー通算27本塁打の新外国人フランチー・コルデロ外野手に対し、122キロのカーブを連投した後、外角高めのボール気味の148キロ速球で空振り三振に仕留めた。
昨年までは制球難で球数が増えるケースが多く、昨年4月11日のヤクルト戦では4回で82球、8月23日の広島戦では5回2/3で128球を費やしていた。「制球難も浜口の持ち味の1つ」とまで言われるほどだったが、この日はコントロールが安定し、球数も4回44球に抑えた。
入来2軍チーフ投手コーチは用具係時代の2014年以来10年ぶりのチーム復帰
今年は春季キャンプを沖縄・宜野湾の1軍ではなく、鹿児島・奄美の2軍で過ごした。「ゆっくり自分のペースで、自分のやりたいことに集中できた。自分と向き合う時間が多かったのがよかったと思います」と前向きにとらえている。
新任の入来祐作2軍チーフ投手コーチから指導を受けたことも有益だったようだ。浜口は「入来さんの指導はシンプルで、『足を上げた時のバランスに気をつけろ』とポイントを絞ってチェックしてくれました」と明かし、「昨年まではかかとに体重がかかりすぎ、左腕と頭が離れすぎることによって、コントロールを乱すことがありました。今年はシーズンを通して気をつけていきたいと思います」と説明する。
入来コーチは、用具係を務めていた2014年以来、10年ぶりのDeNA復帰。その間、ソフトバンクで5年間、オリックスで3年間コーチを歴任し、指導者としてのスキルを磨いてきた。浜口は「他の投手を指導されているのを見ていても、いろいろな引き出しを持っている方だと思いました」と評した。
一方、入来コーチは「今年は浜口、石田(健大投手)、三嶋(一輝投手)ら1軍で実績のある選手が2軍キャンプに参加してくれたお陰で、彼らの練習に取り組む姿勢が、1軍経験のない若い選手にとって非常にいい勉強になっていました」と感謝を口にする。
進化を遂げつつある浜口は開幕ローテ入りへ向け、「レベルの高い争いが続いている。1枠を勝ち取らないといけない」と表情を引き締めた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)