同リーグに電撃移籍…後半戦に激変した助っ人右腕 新天地で秘める“大化けの可能性”

オリックスのルイス・カスティーヨ【画像:パーソル パ・リーグTV】
オリックスのルイス・カスティーヨ【画像:パーソル パ・リーグTV】

カスティーヨは昨年ロッテで3勝…49イニングで与四球は3つだった

 昨季ロッテでプレーしたルイス・カスティーヨ投手は今季、オリックスに入団した。今回は、カスティーヨの球歴や、投手としての特徴、新天地でブレークする可能性を示す数々の指標を紹介する。

 カスティーヨは昨年、12登板で3勝3敗1ホールド、防御率3.12。49イニングで34三振を奪った。2021年の東京五輪では、ドミニカ共和国の銅メダル獲得に貢献。一方で、米国ではマイナー生活が長く、10年間のキャリアでMLB登板はわずか3試合だった。

 昨年はロッテでリリーフとして開幕1軍入りを果たすも、故障もあって4月頭に2軍落ち。このタイミングでリリーフから先発に転向した。1軍復帰した6月1日の巨人戦では、3回を8安打3失点。しかし、6月8日のヤクルト戦で6回0/3を無失点で来日初白星を手にした。だが、6月17日のDeNA戦では3回6失点と打ち込まれ、再び2軍調整となった。

 それでも、7月に1軍再昇格。8月は3試合で防御率3.00、9月は防御率1.15と、投球内容が劇的に向上した。交流戦終了時の防御率6.75から、シーズン終了時には防御率3.12へと数字を改善させた。

 カスティーヨの最大の特徴は、与四球が極めて少ない点だ。2023年は49イニングで与えた四球は3つ。与四球率は0.55、K/BBも11.33だった。一方で、奪三振率は6.24だった。

 そのため、ボールをゾーン内に投じる能力が高い点を生かして、四球を出さずに打たせて取る投球を展開していた。同じく与四球率が優秀な有原航平投手(ソフトバンク)に近い投球スタイルであり、パ・リーグにおいて活躍できるだけの資質は備えているといえる。

生命線の「被BABIP」…大きく低下すれば大化けも

 打たせて取るタイプの投手にとって、フェアゾーンに飛んだ打球が安打となるか否かは重要だ。本塁打を除くインプレーの打球が安打になった割合を示す「被BABIP」という指標はカスティーヨにとっては生命線の1つになる。2023年の被打率は.272、被BABIPは.314と、いずれも高い数値だったた。49イニングで被安打52。ゾーン内で勝負した結果として痛打されるケースは少なくなかった。

 BABIPは一般的に運に左右される部分が大きく、長いスパンで見れば一定の値に収束していく傾向が強いとされている。昨季のBABIPが基準値とされる.300を上回っていたこともあり、この数字が改善される可能性は大いにあるだろう。有原も15勝で最多勝に輝いた2019年は被BABIPが.234、10勝の2023年は同.248と、いずれもキャリア平均の数字(.282)を下回っていた。カスティーヨの被BABIPが大きく低下するシーズンが来れば、大化けするかもしれない。

 2023年の月別成績を見ると、6月は3先発したが、そのうち2試合では3イニングを投げたところで降板した。しかし、7月29日のソフトバンク戦では5回で6安打を浴びながら無失点と粘りの投球。8月は3試合中2試合で6イニングを投げ、9月は先発した2試合でいずれも5回2/3以上を消化した。

 9度の先発登板で7イニング以上を消化した試合は1度もなし。6回を3失点以内に抑えるクオリティスタート(QS)は4度達成も、7回2失点以内のハイクオリティスタート(HQS)は1度もなかった。主に中継ぎとしてキャリアを積んできた投手だけに、シーズン途中の先発転向で調整が難しくなった面もあるだろう。9月には奪三振率も8.05まで向上していた点も含め、昨季終盤に見せた姿を今季につなげられるかが、先発陣の一角に定着できるかを決めることになりそうだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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