移籍で守護神に…5球団競合ドラ1が“激変” 連敗地獄から脱出劇も、昨年覚醒した投手

日本ハム・田中正義(左)とオリックス・山下俊平大【写真:荒川祐史、矢口亨】
日本ハム・田中正義(左)とオリックス・山下俊平大【写真:荒川祐史、矢口亨】

田中正義はハムで25セーブ、西武・隅田は1年目で1勝も2年目の昨年は9勝

 投手の肩は消耗品と形容されることは少なくない。前年に主力として活躍した投手翌年に成績を落としたり、登板機会を減らしたりするケースは少なくない。今回は2023年シーズンに大きく成績を伸ばした投手や活躍した新戦力から、新シーズンも同じ球団でプレーする投手たちの成績をチームごとに紹介する。

○日本ハム:近藤健介外野手の人的補償でソフトバンクから加入した田中正義投手が8ホールド25セーブ、奪三振率8.94を記録。2016年ドラフト会議で5球団が競合した右腕が、ついに開花した。シーズン途中にトレードで加わった山本拓実投手も26試合で防御率1.50をマークした。

 移籍3年目の池田隆英投手も自身初の50試合以上に登板、25ホールド、防御率2.86をマーク。左腕の河野竜生投手も50登板で20ホールド、防御率1.70を記録した。宮西尚生投手や杉浦稔大投手ら実績組も復調の兆しを見せ、福田俊投手は29試合で無失点。上原健太投手と鈴木健矢投手は先発の機会を増やして存在感を発揮した。

○楽天:ドラフト1位の荘司康誠投手は109回2/3を投げて防御率3.36。同3位の渡辺翔太投手は51登板で25ホールド、防御率2.40と奮闘し、今春に侍ジャパンに選出された。同4位の伊藤茉央投手も25試合で防御率3.27。新人3投手が1軍で結果を残した。

 左腕の鈴木翔天投手はリーグ最多の61登板で22ホールド、防御率3.30、奪三振率9.69。2022年は1ホールドに終わった酒居知史投手は2年ぶりに2点台の防御率を記録し、20ホールドを挙げた。内星龍投手が3年目でブレークし、53登板で防御率2.28。藤井聖投手も先発と救援を兼任して防御率2.29をマークし、今季はさらなる活躍が期待される。

○西武:1年目の2022年は1勝10敗と苦戦した隅田知一郎投手が、2年目の昨年は9勝、奪三振率8.79と躍進した。昨秋、今春と侍ジャパンに選ばれている。同期の佐藤隼輔投手も47試合で18ホールド、防御率2.50。さらにドラフト4位の新人・青山美夏人投手、7月に支配下契約に移行した豆田泰志投手が活躍。リリーフに専念した平井克典投手が28ホールド、防御率2.55、田村伊知郎投手も24試合で防御率1.52を記録した。

 2022年は故障の影響で9登板に終わった今井達也投手は昨年、防御率2.30、奪三振率8.80で自身初の2桁勝利。先発転向1年目の平良海馬投手も11勝を挙げて防御率2.40、奪三振率9.18と奮闘した。

オリ山下は開幕投手→9勝で新人王。最多奪三振を争ったロッテ種市

○ロッテ:日本ハムからトレード加入した西村天裕投手は自己最多の44試合に登板、防御率1.25をマークした。同じく移籍1年目の澤田圭佑投手も防御率1.08。シーズン終盤には抑えも務めた。種市篤暉投手は1登板に終わった2022年から飛躍を遂げ、自身初の2桁勝利を記録。奪三振率10.34で、最終盤まで最多奪三振のタイトルを争った。今春に侍ジャパンに選ばれた。先発に再転向した西野勇士投手も117イニングで防御率2.69を記録した。

 2022年途中にトレード移籍した坂本光士郎投手は、貴重な左腕としてフル回転。終盤戦に病気で戦線を離れた岩下大輝投手も離脱までは存在感を示し、東妻勇輔投手も復調した。鈴木昭汰投手と中村稔弥投手は安定感を増し、若手の横山陸人投手と中森俊介投手も台頭した。

○オリックス:山下舜平大投手は3年目の昨季、プロ初登板で開幕投手という大抜擢を受ける。トータルで16試合で9勝、防御率1.61、奪三振率9.57をマークし、新人王に輝いた。今春、侍ジャパンに選出された。東晃平投手もシーズン終盤に先発陣の一角に加わり、無傷の6連勝を記録した。

 2022年終盤にブレークした宇田川優希投手は46試合で20ホールド、防御率1.77。と優秀な成績を残した。2022年途中にセットアッパーに定着した山崎颯一郎投手も27ホールド、9セーブと大車輪の働きを見せた。2年目の小木田敦也投手も防御率2.19。2022年は不振に陥った山田修義投手も防御率1.15と復活し、山岡泰輔投手はリリーフとして新境地を開拓。奪三振率が9.29と大きく向上し、防御率2.30とブルペンの新たな力となった。

○ソフトバンク:2023年にNPB復帰した有原航平投手は17試合で10勝、防御率2.31。移籍1年目のロベルト・オスナ投手も12ホールド29セーブ、防御率0.92と、絶対的なクローザーとして君臨した。ドラフト2位ルーキーの大津亮介投手は46試合で13ホールド、防御率2.43。6年目の田浦文丸投手も自己最多の45試合に登板し、防御率2.38と活躍した。

 来日5年目だったカーター・スチュワート・ジュニア投手は防御率3.38を記録し、先発陣の一角へと成長した。板東湧梧投手は6月8日まで中継ぎで防御率2.30の好成績で6月15日以降は先発に転向。活躍の場を広げた。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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