トレード移籍で覚醒…魔球に起きた“変化” 劇的改善した課題、30歳右腕の急成長

ロッテ・西村天裕【写真:球団提供】
ロッテ・西村天裕【写真:球団提供】

日本ハム→ロッテの西村天裕は移籍1年目の昨季44試合で防御率1.25

 2017年ドラフト2位で日本ハムに入団した西村天裕投手。プロ入りから5年間で122試合に登板するも、通算防御率4.01で1軍と2軍を行き来することが多かった。迎えた2023年は、開幕前にトレードでロッテに移籍。4月2日に移籍後初登板すると6月7日まで無失点を継続し、球団タイ記録の21試合連続無失点をマーク。左脇腹の肉離れで9月に一時離脱したものの、自己最多となる44試合に登板して防御率1.25を記録した。

 成績が向上した要因として挙げられるのが、0、1ストライク時の被打率が大幅に改善した点である。2ストライクに追い込むと高い確率で打者を抑えることができていた一方で、0、1ストライク時の被打率は移籍前の2シーズンともに3割後半。被打率もさることながら、長打を許すことも多いのが課題だった。それが昨季はパ・リーグ平均の被打率.313より優れる被打率.246。打者を追い込む前に痛打を浴びることが減少し、キャリアハイの活躍につながったようだ。

 また0、1ストライク時の球種割合を見てみると、2022年までは主にストレート、スライダー、カットボールの3球種でカウントをつくり、打者を追い込んでから決め球のスプリットで打ち取る配球が多かった。昨季はその傾向に変化が見られ、スライダーやカットボールの割合が減少し、これまで決め球として使っていたスプリットが31.9%にまで上昇した。もともとスプリットはリーグ上位の空振り率に加え、日本ハム時代にも通算被打率.156を記録する優れた決め球だった。そのため、持ち球の中で優秀なスプリットを多投すれば成績が向上することは容易に想像できるところである。ではなぜ、日本ハム時代はスプリットを多投しなかったのだろう。

 一般的に、スプリットなどの落ちる変化球は、ストレートやスライダーなど他の球種に比べてストライクゾーンへの投球割合が低い球種である。西村も昨季は0、1ストライク時から投じたスプリットの152球中107球、約70%がボールゾーンに投球されていた。おそらく、打者に見送られてしまうとカウントを悪くするリスクがあったため、日本ハム時代は追い込む前にスプリットを多投することに不安があったのだろう。

 実際、配球の変化によって0、1ストライク時のストライクゾーンへの投球割合は移籍後に3.9ポイント減少した。一方で、ボールゾーンのスイング率が10.4ポイント上昇。ストライク率を向上させたことに加え、ボール球を打たせることで被打率の改善につながった。西村のように奪三振能力に優れる投手は、2ストライクの割合を増やすことが好成績に直結する。バッテリーは相手打者をいかに早く追い込むか、ストライクゾーンでどれだけ勝負できるか、際どいコースで見逃しをどれだけ奪えるか、といった思考を優先してしまうのかもしれない。追い込む前でもボールゾーンをうまく使うという発想の転換が、西村の飛躍をもたらした可能性が高いだろう。

 移籍時の入団会見で「昨年までは三振にこだわりはあったが、今はアウトの取り方にこだわっています」と語っていた西村。これまでの投球スタイルを見直したことで飛躍を遂げ、新天地で欠かせないリリーバーとなった。今季は目標とするシーズン50登板をクリアし、チームの優勝のために腕を振り続ける。

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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