飛ばない&遅い打球「めちゃくちゃ難しい」 低反発バットが守備にも及ぼす“違和感”

低反発バットで長打は減ったが、守備側にも対応力が求められている
低反発バットで長打は減ったが、守備側にも対応力が求められている

常総学院が1点を死守し完封勝利を収めた

 低反発バットの導入は打撃以外にも影響を与えた。第96回選抜高校野球大会は25日、常総学院(茨城)が日本航空石川を1-0で下し2回戦進出を決めた。最速147キロを誇るエース・小林芯汰(3年)を中心に自慢の守備力で勝ち切った。

 常総学院は6回に四球と相手の暴投などで作った1死三塁の好機に、4番の武田勇哉内野手(3年)が右犠飛を放ち、無安打で先制に成功した。先発の小林は自慢の直球とカットボールで9三振を奪い完封。1点を最後まで守り切った。

 島田直也監督も「うちは守備のチーム」と語るほど評価されているのは守備力。昨秋は失策数を1試合平均1以下に抑えた。6回には左中間に落ちるかという打球を中堅手の池田翔吾(3年)がダイビングキャッチ。「いつもより打球が前に落ちる感覚がありました。なので少し前に守っていました」と低反発バット導入による飛距離の違和感にも動じなかった。

 今大会から金属バットに新基準が導入された。従来に比べると、バットの最大直径が67ミリ未満から64ミリ未満に細くなり、打球部は約3ミリから4ミリ以上に厚くなって、反発が抑えられている。

故・木内元監督の教え「試合で金属を使うんだから」

 飛距離が出にくくなった事実を松林康徳部長は「めちゃくちゃ守備は難しいと思います」と語る。実際に外野の頭を越える打球は減り、各校も守備位置も前進するなど工夫が求められていた。

 松林部長はシートノックでも金属バットを使用した。木製のノックバットを使用することが一般的な中、あえて使用しない理由を「(前監督の)木内(幸男)先生から試合で金属を使うんだから、ノックも金属でやるべきだと教えていただきました」と、2020年に亡くなった名将からの教えを明かした。

 名将の考えはバットの基準が変わった今、さらに大きな意味を持つこととなった。「(低反発バットになり)外野手への打球もそうですが、内野ゴロの速度も変わってきます。今までよりワンテンポ打球が遅れる分エラーしてしまうんです」と松林部長。低反発バットを取り入れ始めた当初は、打球速度の違いに戸惑うことも。それでも試行錯誤を繰り返し、金属のノックバットで練習を続けることで守備力の向上に努めてきた。

 長打や本塁打が減ってきた事で1点の重みはさらに増した。勝ち上がるためには更なる守備力の向上も求められている。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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