佐々木朗希がお手本にすべき“技巧派左腕” 求められるノルマ…脱皮に必要な術

ロッテ・佐々木朗希【写真:小池義弘】
ロッテ・佐々木朗希【写真:小池義弘】

燕で盗塁王の飯田哲也氏…1年間ローテを守り抜けば「楽勝で15勝です」

 プロ野球の開幕が迫ってきた。今季はどんな展開になるだろうか。注目の1人が5年目を迎えるロッテ・佐々木朗希投手だ。昨季は15登板で7勝4敗、防御率1.78。前半で7勝をマークも、後半は故障離脱もあり、白星を上積みできなかった。ヤクルト、楽天で計20年の現役生活を送り、盗塁王1度、ゴールデングラブ賞7度と走攻守3拍子揃ったプレーで活躍した評論家の飯田哲也氏が“令和の怪物”のさらなる飛躍へのポイントを探った。

 飯田氏は「それはもう、1年間を通して先発ローテーションを回ることですよね」と強調する。球界関係者もファンも、まさに誰もが切望している。「ローテを守り抜けば、楽勝で15勝できますよ。楽勝です。普通にやったら、15勝2敗くらいじゃないでしょうか」

 1年目は体力作りに励み、2年目には1軍デビュー。3年目は完全試合を達成するなど9勝をマークした。順調に階段を駆け上がってきたものの、昨年は足踏みした形。初の規定投球回には到達できなかった。

 オープン戦は3試合で12回を投げて14奪三振、防御率3.00。当初の2戦は乱調気味だったが、直近24日の中日戦は5回無失点と立て直した。「大丈夫。本番になったらやります。力はずば抜けていますから。ストライクゾーンの中でのコントロールは、まだまだ良いわけではありません。これがきっちりコースに来るようになったら、もう負けないですよ」。

 万人が認める佐々木の桁違いの能力。昨年は13.35と奪三振率の高さが際立つが、相手打者が何とかバットに当てたとしても厳しいと見る。「打席に入りたくない、打ちたくないピッチャーだと思います。打った時にバットを握っている手がビリビリッと痺れて衝撃が走るはずです。気候が寒かったりしたら、それはもう余計に大変でしょう」。

 飯田氏は自身のヤクルト時代に、巨人のサイドスロー斎藤雅樹投手と対戦した経験を例にあげる。「斎藤さんはスピードだけだったら、手も足も出ない感じじゃないんです。でも打てる球が全然ない。ボールが端っこ端っこにしか来ない。『これを打ったら詰まって凡打だよな』とずっと考えていました。斎藤さんは制球で、佐々木投手はボールの勢い、力でいくというタイプの違いはありますけど」。佐々木は22歳にして、既に“平成の大エース”と比肩する程の存在と分析する。

ロッテ開幕投手に内定の小島和哉は、昨季まで3年連続で規定投球回クリア

 佐々木は昨年、野球日本代表「侍ジャパン」の一員としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場。大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸ら日本が誇るスター選手と接し、刺激を受ける機会は多かった。飯田氏は所属するロッテにも「お手本」になる投手がいると指摘する。今年、2年連続開幕投手に内定した技巧派サウスポーの小島和哉。「小島投手は打線の援護がなくて、なかなか白星につながらない時期があっても1シーズン投げてくれますよね」。

 27歳左腕は、昨年まで3年連続で規定投球回をクリア。昨季は25先発で10勝をマークした。クライマックスシリーズ(CS)出場をかけた楽天とのレギュラーシーズン最終戦で先発し、重圧の中でも7回無失点に抑えて勝利に導いた。佐々木は投球スタイルこそ“真逆”だが、学べる術は多いと見ている。

 佐々木を入団時から指導する吉井理人監督と飯田氏は、ヤクルト時代に同僚だった。「吉井さんは選手目線。選手がちょっとでもおかしい、違和感があったら投げさせる監督ではありません。『いけっ』という人じゃない。吉井さんが止めるくらい、佐々木投手には投げてほしいんです。先発ローテを1年きちんと回り、登板数は最低25試合かな」。

 佐々木は1月の契約更改後の会見で、将来的なメジャー挑戦への意欲を公言した。「朗希にはもちろんチームのために、そして本人が目指す未来のメジャーでのプレーに向けて自分のためにも、1年間頑張れと言ってあげたいですね」。飯田氏は“令和の怪物”の進化を楽しみにしている。

(西村大輔 / Taisuke Nishimura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY