セは「圧倒的な差はつかない」 坂口氏が分析…OP戦首位の中日は「未知な部分が多い」
近鉄、オリックス、ヤクルトでプレーした坂口智隆氏が今季のセ・リーグを予想
戦力充実の“虎”を止めるチームは現れるのか? 29日に開幕する今年のプロ野球は、パ・リーグは3連覇中のオリックス、セは球団史上初の連覇を狙う阪神への“包囲網”が1つの注目になる。現役時代に近鉄、オリックス、ヤクルトでプレーした野球解説者の坂口智隆氏が、春季キャンプ、オープン戦を分析し順位を予想した。【セ・リーグ編】
1位 阪神
2位 ヤクルト
3位 巨人
4位 広島
5位 DeNA
6位 中日
球団史上初の連覇、連続日本一を狙う阪神を優勝に予想。「投打のバランスはリーグNo.1。戦い方は大きく変わらないが、能力が高く体の強い選手が揃っている」。レギュラー陣は昨季のメンバーとほぼ変わらず、年齢的にも20代中盤から30代前半と、まだまだ伸びしろがあると見ている。
ただ、オープン戦は3勝14敗1分とまさかの最下位。正捕手の梅野隆太郎捕手ら故障者も出たが「開幕スタメンはほぼ決まっている。そこに入る隙がないチームはやはり強い」と指摘する。昨年は2位・広島に11.5ゲーム差をつけ独走。「圧倒的な差はつかないと見ているが、優勝に一番近い存在であることは間違いない」と明言した。
2位には昨年5位に沈んだヤクルトをあげた。キーマンには塩見泰隆外野手を挙げ「彼が打線の軸と見ている。1年間、普通に出場するだけでいい。そうなると打線の破壊力はリーグトップクラスになる」と語る。山田哲人内野手、村上宗隆内野手、ホセ・オスナ内野手、ドミンゴ・サンタナ外野手ら連覇を知る強力打線が引っ張っていくと見ている。
問題は投手陣だが、連覇した2022年のチーム防御率はリーグ4位の3.52。昨季(リーグワーストの3.66)とそれほど変わらない点を指摘し「だからこそ打線の奮起が必要」と口にする。復活を期していた5年目右腕・奥川恭伸投手の出遅れは誤算だが「能力が高くても、投げられないと競争からは落ちていく。プロは厳しい世界だが、投げられる状態に戻れば救世主になる可能性もある」と、シーズン中の復活に期待を込めた。
広島の高卒3年目・田村俊介はブレークに期待も「無駄なものを背負わせなければいい」
Aクラス最後の1枠には巨人をあげる。阿部慎之助新監督のもと「チームはがらっと変わる」と述べる。ドラフト3位ルーキーの佐々木俊輔外野手、同4位の泉口友汰内野手らがオープン戦で結果を残したことで「シーズン中に調子を落としても『ここまでできる』というのを首脳陣の頭に植えつけたことは大きい」。投手陣はトレードなどで補強した選手たちが、どこまで結果を残せるかが鍵になると見る。
昨年2位の広島は4位と予想した。FA移籍した西川龍馬外野手の穴は大きいとみているが、高卒3年目の田村俊介外野手が急成長。侍ジャパンに選出され、オープン戦では3本塁打を放った。。一気にブレークの期待も高まるが、「そこを背負わすのは酷。自分のことだけに集中できる環境を作れるか。無駄なものを背負わなければいい。やらしく点が取れるチームであることは違いない」と分析した。
5位に挙げたDeNAは今永昇太投手、トレバー・バウアー投手が抜け戦力的に大幅ダウン。「2人で17勝、計280イニングをどうやって埋めるか。打線は面白くなりそう」と、ドラフト1位ルーキー・度会隆輝外野手が加わった打線が、どこまで投手陣をカバーできるか。
ソフトバンクと並んでオープン戦を首位で終えた中日を最下位に置いたが、「投手力は12球団をみても上位に入る」と分析。打線は中田翔内野手の加入で厚みは出たが「周りが打点を作れるシチュエーションを作れるか。二遊間も候補はたくさんいるが、未知な部分は多い。投手陣の負担は昨年と同様に増えていくような気がします」と予想した。