初先発で完投も…モイネロを見殺し 専門家が指摘、早いイニングでの“犠打の是非”

ソフトバンクのリバン・モイネロ【写真:矢口亨】
ソフトバンクのリバン・モイネロ【写真:矢口亨】

今季から先発に転向したモイネロが3安打2失点完投「軸になる投手が現れた」

■オリックス 2ー0 ソフトバンク(30日・京セラドーム)

 ソフトバンクは30日、京セラドームで行われたオリックス戦に0-2で敗れ、4年ぶりの開幕カード黒星となった。今季から先発に転向したモイネロが、8回2失点の力投も打線が援護できず。それでも、野球評論家の新井宏昌氏は「先発として十分な役割を果たした。先発不足のなかで軸になる投手が現れた」と、評価した。

 来日8年目、通算307試合目にして初先発のマウンドは上々の内容だった。150キロを超える直球とカーブを武器に、4回まで完全投球を披露。だが、5回は先頭・頓宮に左前打を浴び初めて走者を許すと、1死からセデーニョに右中間へ先制2ランを浴びた。

 それでも、ストライク先行の投球は健在で、失点した以降はわずか1安打に封じ8回3安打2失点の完投。球数も90球に抑え“先発デビュー”は満点に近い内容だった。新井氏も「これまで短いイニングで『どうなるか?』と思えたが、素晴らしい投球を見せつけた。長いイニングを投げる準備ができ、投球にも工夫が見られた」と称えた。

 これまでセットポジションでの投球が多かったが、この日は“先発仕様”のノーワインドアップを披露。ゆったりとしたフォームで投げるだけではなく「カウントや打者を見ながらスライドクイックも使っていた」と指摘。中継ぎ時代にはなかった“変化”に注目し「タイミングを変えるなど打者との駆け引きも非常に良かった」と、適応能力の高さにも注目した。

打線はオリックス投手陣の前に6安打完封負け

 一方で打線はオリックス投手陣の前に6安打完封負け。柳田、山川、近藤が中軸を張る強力打線も不発に終わった。初回は不安定だった先発のエスピノーザから好機を作るも無得点。新井氏は無死二塁の場面で今宮が投ゴロに倒れた場面に注目した。

「今の野球は早いイニングから犠打を使わないのが主流。ただ、1死三塁を作ることができれば得点の可能性は上がっていたかもしれない」

 先頭の周東が四球を選び、二盗を決め無死二塁の好機。ここで今宮はカウント2-1からの4球目を打ち走者を進めることができなかった。「進塁打を打つ姿勢は見えたが、今宮なら追い込まれてからでも十分に対応できる。初先発の相手に1死三塁でプレッシャーをかけることもできた」。前日の開幕戦は初回に1死三塁から柳田の犠飛で先制していただけに「能力の高い中軸3人なら最低でも1点は期待できる」と、分析した。

 チームは今季初黒星を喫したが、モイネロの好投は先発陣に希望を与えた。「想像以上の内容、結果だと思います。これを続けることができれば、大きな力になる」。V奪還に向け、収穫ある1敗だった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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