今江監督も評価「自分の配球がないからこそ…」 石原彪が楽天にもたらす新たな風

楽天・石原彪【写真:町田利衣】
楽天・石原彪【写真:町田利衣】

8年目の石原彪は5試合中3試合で先発マスク、2日にはプロ初アーチを放った

 楽天のカギを握っているのは、この男かもしれない。プロ8年目の石原彪捕手は、開幕から5試合で3度、先発マスクを被った。ここまで打率は.143ながら、2日の日本ハム戦ではプロ初本塁打をマーク。昨季まで1軍出場はわずか27試合の25歳に、今江敏晃監督は経験が少ないからこその強みを見出している。

 チームが開幕から2連敗を喫して迎えた3月31日の西武戦。今季初めて先発出場した石原は、6投手を粘り強くリード。打撃は3打数無安打ながら、6回には一犠打を成功させ、延長11回には先頭で四球を選び出塁し、劇勝につなげた。2カード目となった日本ハム戦でもスタメンで起用されて、2日はチームを勝利に導いた。

 今江監督は「守備の面は、彼はそんなに実績もないし経験も浅いけれど、一生懸命投手のいいところを引き出そうというのが何となく見えるかな」と評価している点を説明。「まだ自分の配球だったりリードがないからこそ、いいのかもしれないですし……」と続けた。

 投手陣をみてみれば、開幕投手を務めた4年目の早川隆久らをはじめ、まだまだ伸びしろ十分の若手たちが並ぶ。「うちの投手たちは、まず自分たちの能力を伸ばしていかないと、発展途上の投手ばかりなので。キャッチャー本位の配球をしていてもダメなところがある。そういう意味でキャッチャーには常々、投手を引き出してやってくれと言っていて、彼(石原)は今のところうまく引き出してやってくれているのではないかなと思います」と“相乗効果”を口にした。

昨季は太田が69試合で先発も「どう思うか。争ってやってもらいたい」

 2016年ドラフト8位で京都翔英高から入団した石原は、プロ2年目の2018年に1軍デビューを果たし、2020年に18試合に出場したが、これがキャリアハイだ。昨季は1軍出場なし。2軍では42試合に出場するも打率.235にとどまり、昇格することはできなかった。

 身長172センチ、体重96キロの体格で、かつて“京都のドカベン”の異名をとった強肩強打の捕手も、もうプロ8年目。崖っぷちから猛烈な存在感を示している。

 昨季のチームの捕手陣は、太田光が69試合で先発マスクを被った。続く46試合だった炭谷銀仁朗は戦力外となり、西武に移籍。さらに安田悠馬が28試合で続いていた。

 競争の激化は、チーム力アップの証。指揮官は「うれしいですよね。太田が昨年あれだけ試合に出て、今年もメインでやるだろうというところで石原がね。ここでまた(太田が)どう思うか。まだ始まったばかりですけどこうやって頑張っているので、そこを2人で本当に争って、(田中)貴也もいますけど、やってもらいたいと思います」と歓迎した。

 3年連続Bクラスからの巻き返しへ、40歳の若き新監督のもと再出発を図っている楽天。石原もまた、チームにフレッシュな風を吹き込んでいる。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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