消えた日差し…包まれた大歓声 選手も堪能した天体現象「とても興奮したよ」【マイ・メジャー・ノート】
ガーディアンズの本拠地開幕戦を前に約4分間、日差しが消えた
米国各地で8日(日本時間9日)、皆既日食があった。太陽、月、地球がほぼ一直線に並び、月が太陽を覆い隠す現象で、米国では2017年以来。今回の経路は、メキシコ中部の太平洋側から始まり、その後、北東方向へ移る縦断で、オハイオ州のクリーブランドではガーディアンズの本拠地開幕戦を前にして約4分間、日差しが消え、球場は大歓声に包まれた。
ガーディアンズは2月に本拠地開幕戦の開始時刻を午後5時10分に決定していた。過去6年では5試合が午後4時10分開始となっていたが、米航空宇宙局(NASA)が午後3時13分頃から現象が起こると公表したため、球場周辺の大混雑が落ち着き出す時間を選んだ。
どのチームも本拠地の開幕戦は地元ファンで満員になるが、プログレッシブ・フィールドで行われたガーディアンズとホワイソックスの一戦は歴史的な皆既日食の経路にスッポリと入った。入場者全員に観測専用の保護眼鏡「日食グラス」が配られ、約3万6000人のファンが午後3時過ぎから一斉に空を仰いだ。
NASAの予想通り、午後3時13分過ぎから球場は薄暗くなり完全に月が太陽と重なりクライマックスを迎えると、17分過ぎには徐々に明るさを取り戻した。
勝利投手のマッケンジーは2度目の遭遇
両軍の選手たちの多くがフィールドで珍しい天体現象の目撃者になった。
6回途中までを投げ3安打無失点の好投で今季初勝利を挙げたガーディアンズのトライストン・マッケンジー投手は試合後、「先発だったので準備で忙しかった。だけど、(現象の)最後の方だけは何とか見ることができた。とても興奮したよ」と上機嫌だった。
マッケンジーは2017年のマイナー時代にも皆既日食と遭遇していて、「あの日は休養日だったから宿泊先で真っ黒い太陽を堪能したよ。神秘的だった」と振り返った。
NASAによると、米国で皆既日食が次にみられるのは20年後の2044年8月23日になる。
○著者プロフィール
木崎英夫(きざき・ひでお)
1983年早大卒。1995年の野茂英雄の大リーグデビューから取材を続ける在米スポーツジャーナリスト。日刊スポーツや通信社の通信員を務め、2019年からFull-Countの現地記者として活動中。日本では電波媒体で11年間活動。その実績を生かし、2004年には年間最多安打記録を更新したイチローの偉業達成の瞬間を現地・シアトルからニッポン放送でライブ実況を果たす。元メジャーリーガーの大塚晶則氏の半生を描いた『約束のマウンド』(双葉社)では企画・構成を担当。シアトル在住。【マイ・メジャー・ノート】はファクトを曇りなく自由闊達につづる。観察と考察の断片が織りなす、木崎英夫の大リーグコラム。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)