偉業達成を目指す40歳アーチスト 快挙へ残り28発…中村剛也が不振を脱した要因

西武・中村剛也【写真:小池義弘】
西武・中村剛也【写真:小池義弘】

2022年は打率.196→2023年は3・4月度の月間MVPに輝くなど躍動

 現役最多の通算472本塁打を誇る西武・中村剛也内野手。2022年はシーズン打率.196と振るわなかったものの、一転して昨季は3・4月度の月間MVPに輝くなど躍動。故障による離脱がありながらも打撃成績を軒並み向上させた。ここでは昨季の成績向上の要因について探る。

 中村はこれまで変化球と比較してストレートの打撃成績が良いシーズンが多かったが、2022年はストレートに対する打率が.172まで悪化。2割を下回ったのはレギュラー定着後初めてで、成績が振るわなかった要因の1つとなっていた。しかし2023年は月間MVPに輝いた3、4月にストレート打率.406を記録するなど、前年の低迷を払しょくする強さを発揮した。

 続いて注目したいのが打球角度だ。昨季の中村は、ゴロの割合が直近2年と比べて大きく減少。フライ割合は前年から割合を増やし、2015年以降で最も高い58.1%をマークした。この数字は昨季200以上の打球を放ったパ・リーグの選手の中で、ロッテのグレゴリー・ポランコ外野手に続く2番目に高い割合だった。

 中村は過去に6度本塁打王を獲得しているが、そのいずれのシーズンもフライ割合は50%台後半から60%台をマーク。つまり昨季は、ホームランを量産していたシーズンに近い割合でフライ打球を放っていたことになる。

フライが本塁打になった割合はハム万波、鷹・近藤らを上回った

 単にフライが増加しただけでなく、その打球は結果にもつながっていた。フライ打球がホームランになった割合を示すHR/FBは、13.9%を記録。これは昨季本塁打王争いを繰り広げた日本ハムの万波中正外野手やソフトバンクの近藤健介外野手らを上回る数字で、40歳を迎えてなおリーグ屈指のパワーヒッターとして健在ぶりを示した。

 もう少しフライ打球の結果を深掘りする。打球が発生した結果に限定しているため三振による凡退が含まれておらず、シーズン成績との単純比較はできないが、2022年から比べるといずれも打率や長打率の数字は向上。フライはゴロと比較して長打になる確率が高く、好成績につながりやすい。中村はそうした打球が増えたこと、そのフライ打球が実際に好結果に結び付いたことで復調につながったと考えられる。

 同学年の栗山巧外野手とともに、リーグ最年長野手として迎えた2024年。節目のNPB通算500号まで残り29本で開幕を迎え、4月10日のロッテ戦で横山陸人投手の直球を捉えて今季1号ソロをマークし、大台到達へまた一歩前進した。迫る史上9人目の快挙達成、5年ぶりリーグ制覇へ、復活した希代のアーチストの打棒に期待したい。

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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