西武の27歳元ドラ7は“救世主”になれるか…昨季ブレークの「4.39」、向上した対応力

西武・佐藤龍世【写真:小池義弘】
西武・佐藤龍世【写真:小池義弘】

西武・佐藤龍世内は昨季キャリアハイの成績を残し、ブレークを予感させた

 2018年に富士大からドラフト7位で西武に入団した27歳の佐藤龍世内野手。2021年のシーズン途中に日本ハムにトレードで移籍するも、2022年のオフに古巣へ復帰。プロ5年目の昨季はシーズンを通して1軍に帯同し、自己最多の91試合に出場。キャリアハイとなる打率、出塁率をマークするなど、ブレークを予感させる1年となった。

 佐藤龍のバッティングをデータで掘り下げていくと、昨季は打席でのアプローチに変化が見られた。2022年までは全体のスイング率がリーグ平均を上回る50%台を推移していたものの、昨季は37.5%にまで低下。また、1打席あたりの投球数を示すP/PAは、昨季200打席以上に立ったパ・リーグの選手で2番目に高い4.39をマーク。例年以上に相手投手に球数を投げさせるなど、これまでの積極果敢な打撃スタイルから一変していた。

 続いてストライクカウント・ゾーン別のスイング率を見ていく。スイング率低下に比例するように、昨季は追い込まれる前のストライクゾーンのスイング率は37.3%、ボールゾーンは16.2%だった。2ストライク時のゾーン別スイング率を見てみると、ボール球のスイング率が43.4%まで上昇。リーグ平均の45.3%に迫るなど、追い込まれてからはゾーンを問わずスイングしていた。ボール球に手を出しやすい2ストライクの打席が増えたにも関わらず、なぜ昨季の佐藤龍選手は例年以上の成績を残せたのだろうか。

 2ストライク時のボールゾーンへの手を出す割合は増えたが、スイング時の結果を見てみると昨季はコンタクト率が大きく改善。空振りが25.5%まで減少し、ボール球でも高い確率でバットに当てていた。追い込まれても難しい球をファウルで逃れる対応を見せていたのだ。

 追い込まれてからの対応力向上は打撃成績に変化をもたらしていた。佐藤龍は2022年まではリーグ平均と同じく打率1割台を推移していたが、昨季は打率.232まで上昇。さらに掘り下げて見てみると、前年まで半数近くを占めていた三振の割合が減った。また、2ストライクから四球を選ぶ割合が12.6%まで上昇していた。

 昨季はリーグ上位の出塁率.333と好成績をマーク。パンチ力を持ち味とするが、打者にとって不利な状況での対応力アップが昨季のキャリアハイにつながっていた。今季から背番号10となり、さらなる飛躍が求められる中、4月6日の古巣・日本ハム戦ではシーズン1号となる3ランを放つなど存在感を示している。今後も打席内で持ち味を発揮し、レギュラーの座を勝ち取りたい。

※文章、表中の数字はすべて2024年4月25日終了時点

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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