阿部翔太が憧れる“生き様” チーム最年長、41歳比嘉幹貴は「やることがブレない」

オリックス・比嘉幹貴(左)と阿部翔太【写真:北野正樹】
オリックス・比嘉幹貴(左)と阿部翔太【写真:北野正樹】

最年長の背中を見て生まれた“憧れ”の精神

 長くチームに貢献したい。オリックス・阿部翔太投手は社会人出身の先輩で、チーム最年長(41歳)の比嘉幹貴投手を目標にプロ4年目のシーズンに臨んでいる。「比嘉さんには言いませんが、僕は尊敬しています。僕が目指すのは比嘉さんです」。笑顔だった阿部の表情が、一瞬にして真顔になった。

 目標にする大きな理由は、ともに大卒、社会人出身で、25歳を超えてプロ入りしたという経緯が似ているからだ。阿部が成美大(現福知山公立大)、日本生命を経て28歳で入団したのに対し、比嘉は国際武道大、日立製作所から27歳で入団した。

 高卒の選手とは10歳近くも年齢が違い、多くの選手がふるいをかけられプロの世界から去る頃。そのタイミングでプロの門をたたいたオールドルーキーだ。即戦力として期待をかけられて入団しただけに、力がないと見なされればすぐにポジションを失ってしまう不安定な立場でもある。

 そんな厳しいプロの世界で、阿部にとって比嘉は輝きの存在だ。「短い期間だけガーンと行かなくてもいいんです。細くでもいいから、長く(プロで)やりたい。入ったのも遅いですし、大きな活躍ができるとは思っていません。そういう意味では、入ってきた年齢が近く、長くプロでやっている比嘉さんを目標にしたいんです。もちろん、平野さん(佳寿投手)もすごいのですが、僕が目指すのは比嘉さんなのかなと思っています」とリスペクトする。「細く長く」というと、力を温存して1日でも長くと思われがちだが、もちろん阿部にそんな考えはない。

 手本にするのは、マウンドでの姿や成績だけではない。人間性の部分が大きい。「一番すごいなと思うのは、打たれようが、その日の朝にファーム行きを言われようが、ストレッチや練習に入る前のこと全て、毎日ずっと同じことをやり続けられるんです。怪我をしたり、調子を落として2軍に行ったりしても、変わらず自分のやるべきことをずっとやって、絶対にやることがブレないんです。短時間で肩を作れるのも、試合に臨む準備がすごいんだと感じます。そういうところが長く続ける秘訣なのかなと思います」。

 若い選手への声掛けなど、目に見えない部分でのチームへの貢献も参考になっている。「最年長なのに(年齢が)下の選手たちに声を掛けていらっしゃいます。平野(佳寿)さんもそうですが、歳下の選手にとってあれだけ親しみやすい方はいません。実力の世界ではありますが、やっぱりそういう人が残っていく世界なのかなと思っています」。10年後の姿を思い浮かべ、後を追う。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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