大谷翔平はなぜ打率1位? 克服した課題「.352」…過去6年を置き去りにする圧倒的打棒
例年より大幅に上昇…「変化球打率」はリーグ1位
日本人2人目の偉業へ視界は良好だ。ドジャース・大谷翔平投手は22日(日本時間23日)、本拠地・ダイヤモンドバックス戦に「2番・指名打者」で出場。チームは今季3度目の完封負けを喫したものの、4打数1安打をマーク。打率.354とし、両リーグトップを快走している。昨年は渡米後初めて打率3割(.304)をクリアしたとはいえ、今季はさらに打率が上昇。一体何が変わったのだろうか。
大きく注目したいのが「.352」という数字だ。これは大谷の今季の“変化球打率”を示している。MLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」は14種類の球種を系統別にファストボール(フォーシームなど3種)、オフスピード(チェンジアップ、スプリッターなど4種)、ブレイキング(カーブ、スライダーなど7種)の3カテゴリーに分けている。
大谷は今季、速球以外のボールに対して打率.352をマーク。変化球を300球以上投じられた打者では、ナ・リーグトップの数字を残している。そして、過去6シーズンの数字と比べると、今季の“変化球打率”がいかに突出しているのかが一目瞭然だ。
2024年 打率.352/出塁率.398/長打率.693/ISO.341
2023年 打率.247/出塁率.310/長打率.556/ISO.308
2022年 打率.235/出塁率.289/長打率.461/ISO.226
2021年 打率.237/出塁率.325/長打率.565/ISO.329
2020年 打率.152/出塁率.211/長打率.258/ISO.106
2019年 打率.258/出塁率.296/長打率.412/ISO.154
2018年 打率.262/出塁率.319/長打率.444/ISO.183
変化球に対して最も打率が高かったのが、渡米1年目の2018年で.262。それが今季はベストシーズンから一気に8分以上も上昇。もちろん、持ち味の長打力も健在で、長打率から打率を引いて算出されるパワーを示す指標「ISO(Isolated Power)」も、46本塁打を放った2021年(.329)、本塁打王に輝いた2023年(.308)を上回る.341と、図抜けた数字となっている。ISOは22日(同23日時点)で本塁打リーグ1位のマルセル・オズナ外野手(ブレーブス/.412)に次ぐ2位だ。
サヨナラ打を放った19日(同20日)の試合後取材で、大谷は率を残せている要因について「基本的にはどの打席も、基本的なことは変わらない。ボール球を振らずにストライクを振っていくという作業自体は変わらない。その状況、状況に合ったバッティングはあると思うので、その状況に合ったバッティングをできれば必然的に率も残ってくるのではないかなと思います」と分析した。
言うは易く行うは難し。実際に速球系に対しても打率.355としっかり打ち返していて、変化球系とともに打率.340以上を残しているのは両リーグを通じても大谷だけしかいない。これまでの“課題”を冷静に対処しているのが、首位打者レースを独走している要因と言えそうだ。
日本人選手で首位打者のタイトルを手にしたのは、2001年と2004年のイチローしかいない。果たして大谷は2人目の快挙に手が届くのか――。進化の止まらない打棒があれば、十分に実現可能だろう。
(Full-Count編集部)