オリックス移籍で驚いた異文化 戦力外から誓う再起…“魔法の一言”が「すごく素敵」

オリックス・井口和朋【写真:小池義弘】
オリックス・井口和朋【写真:小池義弘】

オリックス・井口和朋が驚いた「ナイス準備!」の言葉

 自然な心遣いが、団結力を高めている。オリックスの井口和朋投手が“一言の力”に勇気をもらっている。「オリックスは全体的に『みんなで』という意識が強いと思います。1番驚いたのは、例えば僕がバックアップ要員でブルペンで準備をして出番がなかった時でも『ナイス準備!』という声掛けがあることですね」。真っすぐな視線は笑みに変わっていった。

 井口は2015年ドラフト3位で日本ハムに入団。8年間在籍したが、昨オフに戦力外通告を受けた。移籍先を探していると、オリックスから育成契約の打診があり、すぐに返事をした。

 2月の宮崎春季キャンプやオープン戦で結果を残し、今季開幕直前に支配下選手登録を勝ち取った苦労人は「本当にどのポジションでもありがたい」と不測の事態にも備える日々を送っている。

 新天地で“発見”した思いやりのある一言に「お互いの良いところを褒め合う良い環境だなと感じています。試合では投げなかったけど、気分は良いですよね。一体感があって、すごく素敵だと思っています。みんなでまとまって『ブルペンで頑張ろう』という感じがします。良い習慣です」と晴れやかな気持ちで話した。

 愛情の込められた“一言”は中嶋聡監督からも届く。「特別な声掛け……という感じではないんですけど、タイミングよく話しかけてくださいます。これまで僕が関わった監督さんの中で、1番選手との距離が近いなと思います。距離が近く、頻繁にコミュニケーションを取ってくれるので『チーム』という気持ちが強い。その期待に応えたいなと思いますね」。

 最近、掛けられた言葉で印象に残っているのは、試合前練習を引き上げる直前の「え、またアガリ?」の一言。連投などでの疲労考慮のためベンチ入りメンバーを外れることもあるが、それを決めているのは首脳陣に間違いない。

 自虐気味のジョークを受けて「監督さんが和ませてくれます」と頬笑む。全員で作り上げる温和なムードが、強い男たちを生んでいる。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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