ロッテ25歳が驚異の進化…リーグ断トツの「8.15」 圧倒の奪空振り率&加わった武器

ロッテ・種市篤暉【写真:荒川祐史】
ロッテ・種市篤暉【写真:荒川祐史】

ロッテが11の貯金…先制時の勝率は90.9%に及んだ

 スタートダッシュに成功した選手をデータで探り出し、5月の「月間MVP」をセイバーメトリクスの指標で選出してみる。選出基準は打者の場合、得点圏打率や猛打賞回数なども加味されるが、基本はNPB公式記録が用いられる。

 ただ、打点や勝利数といった公式記録は、セイバーメトリクスでは個人の能力を如実に反映する指標と扱わない。そのため、セイバーメトリクス的にどれだけ個人の選手がチームに貢献したかを示す指標で選べば、公式に発表されるMVPとは異なる選手が選ばれることもある。

 まずは、5月のパ・リーグ6球団の月間成績を振り返る。

○ロッテ:15勝4敗4分
得点率3.74、打率.262、OPS.694、本塁打14
失点率2.68、先発防御率2.65、QS率60.9%、救援防御率2.19

○ソフトバンク:13勝9敗
得点率4.38、打率.255、OPS.715、本塁打15
失点率2.23、先発防御率2.28、QS率72.7%、救援防御率1.13

○日本ハム:13勝10敗1分
得点率4.04、打率.256、OPS.670、本塁打13
失点率3.09、先発防御率3.28、QS率41.7%、救援防御率2.32

○楽天:10勝13敗
得点率3.39、打率.245、OPS.637、本塁打9
失点率4.71、先発防御率4.22、QS率52.2%、救援防御率4.20

○オリックス:9勝14敗1分
得点率3.41、打率.251、OPS.626、本塁打7
失点率4.23、先発防御率3.57、QS率36.4%、救援防御率3.44

○西武:8勝13敗1分
得点率2.43、打率.222、OPS.579、本塁打10
失点率4.31、先発防御率3.41、QS率47.8%、救援防御率4.71

 5月のパ・リーグで驚異的な勝率を残したのはロッテ。月間チーム打率はリーグ1位、チーム防御率はリーグ2位で、先制率60.9%、先制時勝率90.9%はいかにロッテが優位に試合を運んだかを物語っている。先制されても62.5%は逆転勝ち。要因として9回の得点率40%と、粘りが挙げられるだろう。

ロッテ種市は30回を投げて防御率0.90、西武ドラ1・武内は月間3勝

 そんなパ・リーグのセイバーメトリクスの指標による5月の月間MVP選出を試みる。投手評価には、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標「RSAA」を用いる。上位ランキングは以下の通りだった。

○種市篤暉(ロッテ):RSAA8.15、登板4、イニング30、防御率0.90、WHIP0.67、奪三振率8.70、与四球率0.60、QS率100%、HQS率75%

○早川隆久(楽天):RSAA7.33、登板5、イニング36回2/3、防御率1.72、WHIP0.90、奪三振率8.35、与四球率0.98、QS率100%、HQS率40%

○CC・メルセデス(ロッテ):RSAA4.12、登板4、イニング25、防御率2.16、WHIP0.96、奪三振率8.64、与四球率1.80、QS率75%、HQS率25%

○武内夏暉(西武):RSAA3.53、登板4、イニング28回2/3、防御率0.63、WHIP0.84、奪三振率6.28、与四球率1.57、QS率75%、HQS率75%

○ダーヴィンゾン・ヘルナンデス(ソフトバンク):RSAA2.67、登板10、イニング10、防御率0.00、WHIP0.80、奪三振率14.40、与四球率5.40

 上記ランキングに掲載されていないチームのwRAA上位選手は以下の通り。

○本田仁海(オリックス):RSAA2.08、登板7、イニング7回1/3、防御率0.00、WHIP0.41、奪三振率9.82、与四球率0.00

○河野竜生(日本ハム):RSAA1.84、登板10、イニング10、防御率2.70、、WHIP0.90、奪三振率10.80、与四球率4.50

 ロッテの好調を支えた投手陣の中で、最もチームに貢献した数値を残したのは25歳の種市。昨季は157奪三振で山本由伸(当時オリックス)に次ぐリーグ2位だったが、今年5月もリーグ2位の29奪三振、スイングに対する空振り率「Whiff%」は21%を記録している。与四球も月間2個と少なく、コントロールの良さも際立った。5月29日のヤクルト戦では74球を投じたうち、ボールと判定されたのは17球だった。ロッテの上昇に大きく貢献した種市をセイバーメトリクス目線で選ぶ月間MVPに推薦する。

 新人ながらRSAA3.53を記録し、低迷中のチームに光明を与えた西武のドラフト1位・武内を月間優秀新人賞として称えたい。同じ月間3勝の日本ハム・山崎福也投手と公式の月間MVPを争うことになるだろう。

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:荒川祐史】

際立つソフトバンク打者陣の活躍…トップ6のうち3人を占めた

 打者評価として、平均的な打者が同じ打席数に立ったと仮定した場合よりもどれだけその選手が得点を増やしたかを示す「wRAA」を用いる。パ・リーグ打者の5月wRAAランキングは以下の通りだった。

○栗原陵矢(ソフトバンク):wRAA11.55、82打席、OPS1.116、打率.373、本塁打3

○近藤健介(ソフトバンク):wRAA9.96、91打席、OPS1.011、打率.342、本塁打2

○岡大海(ロッテ):wRAA9.28、93打席、OPS.977、打率.308、本塁打5

○太田椋(オリックス):wRAA5.68、58打席、OPS.908、打率.375、本塁打0

○アリエル・マルティネス(日本ハム):wRAA5.30、100打席、OPS.810、打率.264、本塁打2

○山川穂高(ソフトバンク)wRAA5.19、92打席、OPS.844、打率.253、本塁打6

 上記ランキングに掲載されていないチームのwRAA上位の選手は以下の通り。

○小郷裕哉(楽天):wRAA4.20、106打席、OPS.759、打率.283、本塁打1

○平沼翔太(西武):wRAA1.07、41打席、OPS.724、打率.306、本塁打0

 5月もソフトバンク攻撃陣の活躍が目立った。特に5月21、22日の楽天戦での合計33得点は圧巻だった。今月もパ・リーグ上位6人のうち3人がソフトバンクの打者である。その中で最もwRAAが高かったのがクリーンアップの後の打順を任されることの多い27歳の栗原である。

 打率.373、出塁率.444、長打率.672、OPS1.116はすべてリーグ1位。ホームランを狙わずとも安打を放つことで、塁上を賑わすランナーを還す役目を十分に果たせるという気持ちの持ちようが好調の要因と言えよう。ソフトバンク打線に厚みを加える栗原を5月の月間MVPパ・リーグ打者部門に推薦する。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。コミュニティサイト「鳥越規央のデータ野球部」を開設。
https://butaiura.fan/community/torigoenorio/

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