宮城大弥、負傷離脱も故郷の歓喜に「うれしかった」 沖縄開催2日間が生んだ“意味”
オリックス・宮城大弥「野球だけでなく沖縄を盛り上げることができてよかった」
故郷・沖縄の温かさを改めて知った。オリックスの宮城大弥投手は、負傷離脱のため参加できなかった凱旋試合を通して「沖縄の良さ」を再認識したという。「(テレビで)観ていて(野球が)好きだなと思い出しましたし、みなさんに楽しんでもらえて本当にうれしかったですね」。その場に立ち会えなかった自身の無念さより、オリックスの試合で盛り上がってくれた「うちなーんちゅ」の気持ちに思いをはせた。
5月14、15日に沖縄セルラースタジアム那覇で開催されたオリックス-ロッテ戦。2016年以来、8年ぶりとなったオリックスの主催ゲームには、天候に恵まれない中、2日間でのべ3万4254人もの観客が訪れるほどの盛況だった。
ただ、グラウンドに宮城の姿はなかった。5月8日の楽天戦(秋田こまちスタジアム)で先発した後、左大胸筋の筋損傷の診断を受けて出場選手登録を抹消されていた。叶わなかった凱旋試合は、約1200キロ離れた大阪市内でテレビ観戦した。大歓声と「ピューピュー」「ヒューヒュー」いう指笛で包み込まれたスタンド。高校時代に観たオープン戦以上の大歓声に、宮城の心も沖縄に在った。
「高校野球も盛り上がるのですが、プロ野球の公式戦開催は少ないので、野球ファンの気合も入ります。2日間だけでしたが、野球だけでなく沖縄を盛り上げることができてよかったと思います」
チーム最年長の比嘉幹貴投手や大城滉二内野手も負傷離脱で凱旋は叶わず、宜保翔内野手が沖縄の期待を一身に背負った。「僕がいなくても、宜保さんが全部を背負ってくださり、その部分でも盛り上がってくれたことがうれしかったですね」と先輩の健闘をたたえつつも、左中間に放った安打で果敢に狙った二塁で憤死したシーンを「空回りし過ぎじゃないですか(笑)。気合が入っていたと思います」といじることも忘れなかった。
故郷で錦を飾れなかったが、意外にも沖縄で投げたいという思いは強くないという。「タイミング次第ですね。あまり期待されるのは好きじゃないんで。僕が投げない時に盛り上がってくれればいいですね」。照れ隠しの側面もあるのだろうが、派手なことを好まず「裏のエース」を目指す宮城らしい言葉で締めくくった。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)