3年かけて掴んだ“初勝利” 感じる若月、森の凄み…福永奨「まだまだ勉強を」

オリックス・福永奨【写真:北野正樹】
オリックス・福永奨【写真:北野正樹】

オリックス・福永奨が掴んだ“初勝利”…「1試合で判断される立場」

 ベンチで見続けた光景を、体現してみせた。オリックス・福永奨捕手は、15日に行われたヤクルト戦(京セラドーム)に「9番・捕手」で今季初のスタメン出場し、プロ3年目での“初勝利”に突き進んだ。

「やっと1軍で勝てたことは僕自身もうれしいです。若月さん、森さん、石川さん、頓宮さんがいて……。超えていくには、僕自身も1試合1試合が勝負。1試合にかける思いはものすごく強いです」

 球界屈指の捕手陣を誇るチームで、福永は鍛錬を積んでいる。福永は2021年ドラフト3位でオリックスに入団。新人年は2軍で84試合、昨季も104試合に出場して多くの経験を積むと、今季は開幕1軍入り切符を掴むなど“着実”に成長を遂げている。

 プロ初出場、初スタメンは2022年4月10日の敵地・ロッテ戦。佐々木朗希投手に完全試合を達成された日だった。同6月12日の阪神戦(京セラドーム)で自身2度目のスタメンマスクを被ると、プロ初安打を記録。昨季10月1日の楽天戦(京セラドーム)に続き、この日が自身4度目のスタメンマスクだった。

「若月さんや森さんはいっぱい試合に出ていて(1試合が)100何分の1かもしれないですけど、僕は毎日が1分の1。そこで結果を残さないと生き残っていけない立場。1軍に登録してもらって(出番をもらった)良い意味でも悪い意味でも、その1試合で判断される立場なんです」

 だからこそ連敗を止め、勝利に導けたことに充実感があった。7回まで守り抜くと、代打を送られて“交代”となった。「後ろに若月さんがいてくれたので『あとお願いします』という感覚でした。ゲームを組み立てられてホッとしたというか……。でも、いつかは9イニングを任せてもらえるようにならないといけないなと思っています」。強い自覚がある。

生きたフォーム変更は「続けてやっています」

 7回までに10安打を許して2失点。「慎重になり過ぎた部分がありました」と反省を口にする。「ただ、僕としては今年初めてスタメンの試合で“最低限”の仕事はできたかなと思います。ヒットはたくさん打たれましたけど、最少失点で抑えられた。次に使ってもらえた時には、慎重さと大胆さのバランスを考えていきたいなと思います」と前を向く。

 1点を追う3回の攻撃では先頭で打席に入って左安打を放った。「1打席が必死なので。ああいう場面で塁に出れて、他の選手が繋いでくれて感謝しかありません」。その後に西川の3ランが飛び出すなど一挙4得点。逆転の口火を切った一打には「変化」があった。

 右打席で構える際、左足を三塁側に少し開く「オープンスタンス」に変更したばかりだった。「1軍に昇格する直前に、高橋信二打撃コーチと話して。無駄な動きがないように『ちょっとやってみようか!』という話になったんです。バットの角度を気にしつつ、続けてやっています」。欲しいタイミングで成果が実った。

 スタメンマスク4試合目で“初勝利”を挙げ「やっとスタートラインに立てた。でも、まだまだ。森さんが怪我をしている状況で、若月さん1人だったので……。6連戦あれば、どこかで『福永、行こうか!』と言ってもらえる存在にならないといけない。まだまだ勉強を続けていかないといけません」。戦況を見つめる日々に、ヒントがある。

○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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