坂本勇人を「休ませないわけにいかない」 専門家指摘の巨人の現状…求められる“後継者”

巨人・坂本勇人【写真:小林靖】
巨人・坂本勇人【写真:小林靖】

ヤクルト、日本ハムなど4球団で活躍した野口寿浩氏が“指摘”

■巨人 4ー3 ヤクルト(23日・東京ドーム)

 巨人は23日、本拠地・東京ドームで行われたヤクルト戦に4-3で競り勝った。首位から最下位まで5.5ゲーム差以内にひしめく大混戦のセ・リーグの中で、首位に3ゲーム差の4位につけている(23日現在)。4年ぶりのV奪回へ向けて、キーマンとなるのは誰か。

「巨人の場合はチームとしてどれだけ点を取れるかがポイントだと思います」。こう指摘するのは、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で計21年間、捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。今季の巨人は、1試合平均失点がリーグで2番目に少ない「2.64」の投手陣と対照的に、攻撃陣が1試合平均2.77得点(リーグ5位)となっている。

 救いの1つは、昨季を.244で終えた丸佳浩外野手が、リーグ2位の打率.304をマークするなど復調を果たし、4月末から1番に定着していることだ。もう1つは、開幕後に入団し5月28日から1軍に合流した新外国人エリエ・ヘルナンデス外野手が、21試合で打率.333と優良助っ人ぶりを見せていることである。

 ヘルナンデスは23日のヤクルト戦にも「3番・中堅」でスタメン出場。1点リードの3回に左翼ポール際へ4号2ランを放った。1度はファウルと判定され、リプレー検証の末に覆ったほど際どい当たりだったが、本人はお立ち台で「絶対にホームランだと確信していました」とキッパリ。守っても、1点差に詰め寄られた5回1死一、二塁のピンチで、山田哲人内野手が放った大飛球を中堅フェンスに激突しながらキャッチ。二塁走者が飛び出していたため併殺となり、この回を無失点で切り抜けた。

 野口氏はヘルナンデスの日本野球への順応ぶりを「外国人選手にありがちな“軸ぶれ”がない。フォークなど落ちる球に対しても、比較的よく我慢できていて、何でもかんでも振る感じではない」と分析している。

「我慢して使い続けていれば…という若手も見当たらない」

「現状では、1番の丸がチャンスメークし、2番打者がなんとかつなぎ、3番のヘルナンデスと4番の岡本(和真内野手)で得点する形がある程度できている。相手投手は後ろに岡本和がいるから、ヘルナンデスと勝負せざるをえなくなり、なおさら良い流れが生まれている」。その上で「同様に、5番が固まれば、岡本和がより精神的優位で打席に立つことができる」とも指摘。得点力アップの鍵は5番打者にあるというわけだ。

 巨人で今季69試合中、最多の42試合で5番を務めているのがプロ18年目・35歳のベテラン坂本勇人内野手だが、この日は今季9試合目のスタメン落ちとなり、結局欠場。今季61試合で打率.234、4本塁打と打撃の調子がなかなか上がってこない。

 野口氏は「休養を取らせながらやらなければいけない年齢に差し掛かっているのは事実。とは言え、この日は負ければヤクルトに3タテを食らっていたわけで、翌日が試合のない月曜だけに、本来は坂本を休ませてはいられなかったはず。それでも休ませないわけにいかなかったところに、巨人の厳しい状況が表れている」と言及する。

 ただ、坂本以上の5番適任者はいない。「もちろん、あそこまでの選手の代わりを見つけるのは難しいですが、我慢して試合に出し続けていれば、そのレベルに達しそうな若手というのも見当たらない。坂本が体調万全の時と同等の成績を出せる若手が育っていないため、坂本に頼るしかないのが巨人のつらいところです」と強調する。

 この日は大城卓三捕手が「5番・一塁」で先発し、3回に左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、3打数1安打1四球。それでも今季打率は.188で、今のところ坂本に取って代わるほどの勢いはない。投手陣の健闘で首位をうかがえる位置に生き残っている巨人だが、混戦を抜け出すには攻撃陣の奮起、とりわけ5番打者の固定がぜひとも必要だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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