西川龍馬が生きる“新時代” 覚悟を決めた道…貫く信念「名前に恥じないように」

オリックス・西川龍馬【写真:小池義弘】
オリックス・西川龍馬【写真:小池義弘】

オリックス・西川龍馬が切り開く“新しい道”

 進取の気概で道を切り拓く。オリックスの西川龍馬外野手は、名前の由来となった「坂本龍馬」の生きざまを意識しつつ、プロ野球人生を歩んで来た。「名前負けというか、名前に恥じないようにとは、考えていますね」。京セラドームでの試合後。地下駐車場で、野球に関係のない突然の質問に戸惑いながらも、目を見据えて答えてくれた。
 
 坂本龍馬(1836-1867年)は、土佐国(現在の高知県高知市)で生まれた進取の気性に富んだ人物だった。幕末、政治的混乱の中で西洋の技術や文化に深い関心を持ち、日本の開国や明治維新の基盤となる新しい政治体制の構築を提案するなど、日本の近代化に大きく貢献した。

 歴史好きの父が命名してくれた「龍馬」という名。「良い名前を付けてもらったと思っています。親父が(坂本龍馬を)好きだったからですが、そんなに意識はしたことはありません」と照れ笑いでいう。「名前に恥じないように」という言葉が口を突くほどだから、意識せずとも深く心に刻まれているということだろう。

 広島在籍中の2023年に国内フリーエージェント(FA)の資格を得た。プロ野球選手として、長く活躍してきたから取得することができる制度。パワーピッチャーが多いといわれるパ・リーグより、対戦チームを知り尽くしているセ・リーグの方がスムーズに移行できる。ただ、西川が選んだのはオリックスだった。セ・リーグへの移籍なら、育ててくれた愛着のある広島を出る必要はない。なにより、挑戦する意味がなかっただけに「そういう思いは、僕の中で少なからずありましたね」と明かす。
 
 常に挑戦をし続ける。オリックスへの移籍が決まり、パ・リーグ投手の強いボールに対応するため、自主トレから新しい打撃を目指してきた。なかなか結果が出ないため試行錯誤の末、6月初旬に広島在籍時代の打撃に戻したが、原点に戻っただけでなく、パ・リーグで得た新しい知識も取り入れ、バージョンアップし続けている。
 
「完璧はないので。毎日いろいろ変えながら、1試合、1試合リセットしてくという感じですね。100%、ボールを捉えられるわけではないので、ミス(ショット)の回数を減らしていければいいのかと思います」

「龍馬」という名前には、新しい道がよく似合う。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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