阿部監督が応援団に“珍要求”「力んじゃう」 7月3HR…状態向上の主砲への思いやり

DeNA戦の指揮を執った巨人・阿部慎之助監督【写真:小林靖】
DeNA戦の指揮を執った巨人・阿部慎之助監督【写真:小林靖】

巨人・阿部監督「岡本コール」に“珍要求”

■巨人 3ー2 DeNA(12日・東京ドーム)

 巨人は12日、本拠地・東京ドームで行われたDeNA戦に3-2でサヨナラ勝ちし、今季最長に並ぶ6連勝となった。単独首位の座をキープし、阿部慎之助監督は試合後、巨人応援団の「岡本コール」について“珍要求”を口にした。

 試合終了後の記者会見を終えた阿部監督。会場出口付近で突然振り返ると、主砲の岡本和真内野手が打席に入る際に巨人応援団から沸き起こるコールについて「レフトへ放り込め、オーカモト! じゃなくて、ライトにしてほしい。(岡本和が)聞こえると、力んじゃうから」と要望。いたずらっぽく笑った。

 この日は、打撃不振で2軍調整していたベテラン・坂本勇人内野手が戦列復帰。6月22日のヤクルト戦(東京ドーム)以来、20日ぶりに1軍のスタメンへ名を連ねた。4番の岡本和は2回に左翼席へ先制16号ソロを放つなど、4打数2安打の活躍で坂本の復帰を祝福したが、2-2の同点で迎えた8回1死一塁の好機では、遊ゴロ併殺に倒れた。

 岡本和の本塁打の方向は、左翼・中堅・右翼の3方向に分類すると、2022年には左翼が53.3%(16本)、右翼が26.7%(8本)。最終的に自己最多の41本塁打を量産した昨年は、左翼が85.4%(35本)、右翼が7.3%(3本)で、引っ張る傾向が強まり、凡打を含めても左翼方向への打球が増えた。

 今季は、左翼への本塁打が87.5%(14本)、右翼が6.3%(1本)で、引っ張る傾向がさらに強まっている。この日の併殺打のように、外角の変化球を引っ掛けるケースもある岡本和の打撃に、阿部監督は一抹の危惧を抱いたのかもしれない。

 一方、二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチは「(岡本和の状態は)徐々に良くなっています。波を小さくすることが大事だと思います」と評し、阿部監督の発言を伝え聞くと「まあまあ。この前、広島で打ちましたから……」と笑った。9日に敵地のマツダスタジアムで行われた広島戦で、今季初めてライト方向への1発(15号3ラン)を放っていたのだった。

6連勝は「岡本がどっしりするようになったことが一番大きい」

 岡本和は今季全81試合で、スタメン4番を務めている。6月29日の広島戦後には、阿部監督が「あそこで打線が切れてしまうことが多々あるので、ちょっと考えようかなと思います」と岡本和の打順変更の可能性を示唆したことがあったが、結局翌30日の同カードでも4番に座り、初回に先制適時打。さらに7月に入ってからは、7試合で打率.346(26打数9安打)、3本塁打、11打点の猛打で坂本不在中のチームを牽引した。セ・リーグのタイトル争いでも本塁打、打点の2部門でトップに立っている。

 岡本和自身は、阿部監督の“打順変更示唆発言”を「別になんも思わなかったです」と受け流し、阿部監督も「あれくらいでは刺激にもならないでしょ」と苦笑していたが、指揮官がメディアを通して放った“ゲキ”に、主砲が見事に応えた格好。今回の“岡本コール変更要望”にも、阿部監督流のメッセージが含まれているはずだ。

 阿部監督は6連勝の理由に「岡本がどっしりするようになったことが、チームにとって一番大きいかなと思います」と称える一幕もあった。岡本和は試合後、坂本の復帰について「やっぱり引っ張ってくれる存在なので、ここから勝てるように頑張りたいと思います」と笑顔を浮かべていたが、指揮官は1枚看板でもチームを支えられる存在に脱皮することを期待している。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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