育成から支配下になる“指標” 河野聡太が見た茶野篤政…辿り着いたスタイル

オリックス・河野聡太【写真:北野正樹】
オリックス・河野聡太【写真:北野正樹】

オリックス・育成の河野聡太…茶野の存在は「当然、参考にしていました」

 理想は1度、胸の奥に仕舞い込む。オリックスの育成、河野聡太内野手が、実戦向きの打撃で支配下選手登録を目指している。「難しいボールでも、何とかバットに当てて転がして内野安打で出塁してかき回すということをしないと、上(1軍)には上がっていけないと思っています」。覚悟を決めた思いを、一気に吐き出した。

 河野は、九産大付属九州産業高、西日本工業大、四国アイランドリーグPlusの愛媛を経て、2023年の育成ドラフト5位でオリックスに入団。愛媛ではクリーンアップを任され、打率.301(リーグ5位)、39得点(同2位)、出塁率.406(同3位)、12盗塁(同6位)の成績を残し、プロへの扉を開くことができた。

 研究熱心だ。愛媛時代から「どういうプレースタイルがプロのスカウトの方の目に留まるのかというのは、当然、参考にしていました」。目指したのは、前年に四国アイランドリーグPlusの徳島から育成4位でオリックスに入団した茶野篤政外野手だった。

「どのくらいの成績を残せばNPBに近付けるのか。基準として、その数字はすごく追いかけました」。1年目に打率.316で首位打者を獲得し、リーグ2位の37盗塁、出塁率.418の成績を残した茶野は、プロ入りの尺度をはかる良いお手本だったのだ。

「動ける選手が必要とされていると思いました」。自信のある脚力でかき回すためには、自らのバットで出塁してアピールすることも必要だが、プロの壁は厚く、そう甘くはない。「真っすぐは速いし、変化球も鋭い。自分は一発か三振か、という打者ではないので、三振を減らして(ボールを)転がすことが必要になります」と、打撃練習でも鋭い打球を求めるだけでなく、意識的にゴロを広角に打ち分ける技術を磨いた。

意識は「どんなに難しいボールでも当てて転がす」

 意識するのは、バットの軌道だ。打撃フォームも若干変わったそうだが「今までと違うイメージで振ったら、ハマった」と明かす。

 4月中旬に1割7分台だった打率は、7月上旬に2割7分台まで上昇。4月18日の阪神戦(鳴尾浜)までの三振は4個だったが、イメージを変えた以降は、6月16日のくふうハヤテ戦(杉本商事Bs舞洲)で空振り三振を喫するまでなかった。6月末までの24試合では、61打席で三振はわずか5個だった。

「どんなバッティングの形になっても、今のフォームなら柔軟に対応できます。どんなに難しいボールでも当てて転がす、そこだけは崩してはいけないと思っています」。東晃平投手や佐藤一磨投手、大里昂生内野手ら育成選手から支配下登録を勝ち取って活躍する選手に、続いてみせる。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY